ChatGPTの広告に「画像の枠」と「外部の計測」が加わりました — 出稿を考える会社が、先に決めておくこと
2026年10月5日、OpenAIがChatGPTの画像生成中に出る広告の試験と、外部の計測会社・ブランド安全性の検証会社との連携を発表しました。確認できたこと、まだ分からないこと、日本の広告主が今のうちに決めておくべきことを整理します。
2026年10月5日、OpenAIがChatGPTの広告について2つの発表をしました。1つは、ChatGPTで画像を作っている最中に表示される画像の広告枠の試験。もう1つは、広告の成果を外部の計測会社でも測れるようにする連携の拡大です。
一次情報はこちらです。
- OpenAI公式発表: Building advertising for the way people use AI
- ChatGPT広告の公式ブログ(計測について): More ways to measure ChatGPT Ads
- ヘルプセンター: Ads in ChatGPT: The Basics
この記事の結論を先に書きます。 画像の枠は、いまのところ米国だけの試験で、日本の会社がすぐ使える話ではありません。 日本の広告主にとって効いてくるのは、もう片方の計測です。ChatGPTの広告が「他の広告と同じ物差しで比べられる」方向に進んでいます。 比べられるようになる前に、自社が何をもって成果とするかを決めておくこと。これが今日できる準備です。
先に、言葉を揃えます
広告の世界の言葉が多く出てくるので、この記事での意味を先に置きます。
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| 広告の表示 | 広告が利用者の画面に出た回数。見られたかどうかとは別 |
| コンバージョン | 広告の先で起きてほしい行動のこと。資料請求、問い合わせ、購入など。会社ごとに何を数えるかを自分で決める |
| ピクセル | 自社サイトに埋め込む小さな計測用のコード。広告から来た人がサイトで何をしたかを広告側に知らせる |
| コンバージョンAPI | ピクセルとは別に、自社のシステムから広告側へ「この人が申し込んだ」という記録を直接送る仕組み。APIは、システムどうしがデータをやり取りするための窓口のこと |
| アトリビューション | 申し込みが起きたとき、それをどの広告の手柄として数えるかの決め方 |
| 増分(インクリメンタリティ) | 「その広告が無かったら起きなかった申し込み」がどれだけあったか。広告が無くても来た人を差し引いて考える |
| ブランドの安全性 | 自社の広告が、出てほしくない文脈(不適切な内容や事件の話題など)の横に出ないようにすること |
発表で確認できたこと
公式の発表とヘルプセンターから確認できた範囲だけを書きます。
画像の広告枠(米国のみ・試験)
- ChatGPTで画像を生成している間に、商品の画像広告が表示される形式を試す
- 内容は、商品の使い方や、その商品で何ができるかを見せる画像が想定されている
- 広告であることは明示され、生成中の画像とは分けて表示される
- 対象は無料プランとGoプラン(低価格の有料プラン)の利用者だけ。それより上の有料プランや法人向けプランには出ない
- 試験は米国で、一部の広告主から始めるとされている。米国以外への広がりについては、発表の中に記述がない
OpenAIはあわせて、広告がChatGPTの回答の中身に影響することはない、という立場を改めて書いています。
外部の計測会社との連携
- ピクセルとコンバージョンAPIで、広告から来た人の行動を広告側に返せる
- 外部の計測会社(アトリビューション、増分の測定、ブランドへの効果の測定)と連携し、OpenAI自身の数字以外でも成果を確かめられるようにする
- 顧客データを扱う外部の仕組みから、申し込みの記録を送りやすくする連携も用意された
- 管理画面のレポートでは、表示・クリック・費用・コンバージョンなどが見られるとされている
ブランドの安全性の検証
- 広告の検証を専門にする外部の会社(DoubleVerify、Integral Ad Science)と、ブランドの安全性の評価を試験的に始める
- その際、検証会社が利用者の個別の会話を見ることはないとされている
発表には、提携先が出した「成果が出た」事例もいくつか載っています。ただし、これはOpenAIと提携先が出したもので、第三者が検証したものではありません。この記事では、その数字は引用しません。
確認できていないこと
ここは正直に書きます。
- 画像の枠が日本でいつ使えるか。 米国の試験という記述までしかありません。日本での時期は確定できません
- 外部の計測会社との連携が、日本の広告主にどこまで同じ条件で使えるか。 提携先の多くは海外の会社です。自社が使っている計測の仕組みが対応しているかは、個別に確かめる必要があります
- ChatGPTの広告が、検索広告やSNS広告と比べて成果が良いのか悪いのか。 公平に比べた実測は、公開されたものが見当たりません。私たちもChatGPTへの出稿を試しておらず、語れる数字を持っていません
なお、ChatGPTへの広告出稿そのものは、2026年8月11日から日本でも始まっています。その経緯と、クリックの先が「会話」になる形式についてはChatGPTの広告が、クリックの先を「会話」にしましたに書きました。
で、自社のマーケティングにどう効くのか
発表の要約は他でも読めます。ここから先が、この記事で書きたかったところです。
1. 「比べられる」ようになると、物差しを持っていない会社が困ります
新しい広告枠は、最初のうちは「試しに少し出してみる」で済みます。ところが、外部の計測会社で他の広告と並べて測れるようになると、社内で必ず「で、検索広告と比べてどうなの」という問いが出ます。
このとき困るのは、そもそも何を成果として数えるかが決まっていない会社です。資料請求を数えるのか、商談化を数えるのか、受注まで追うのか。ここが決まっていないと、どの広告を比べても「数字は出たけれど、判断できない」で止まります。
これはChatGPTに限った話ではありません。ただ、新しい広告が来るたびに同じ議論をやり直すのは無駄なので、今のうちに1回決めておく価値があります。
2. 「どの広告の手柄か」を、広告会社に決めさせない
申し込みが1件あったとき、それを最後にクリックされた広告の手柄にするのか、途中で見られた広告にも分けるのか。この決め方で、同じ実績でも広告ごとの成績はまったく変わって見えます。
広告を出している側の会社が用意する数字は、どうしても自社の広告に有利な決め方になりがちです。これは悪意の話ではなく、立場の話です。今回、外部の計測会社と連携する方向が示されたのは、その意味で広告主にとって良い流れだと私たちは考えています。
ただし、外部の会社を使えば自動で公平になるわけではありません。手柄の決め方は、自社で決めて、どの広告にも同じものを当てる。 そこまでやって初めて比べられます。
3. 「広告が無くても来た人」を差し引いて考える
AIの中に出る広告は、もともと自社に関心のある人の目に触れやすい場所です。そういう人は、広告が無くても検索して自社に来たかもしれません。
だから、広告経由の申し込みが多く見えても、それが広告のおかげで増えた分なのか、どのみち来た人なのかは分けて考える必要があります。今回の発表で増分の測定をする会社が連携先に入っているのは、この区別ができるようにするためです。自社で大がかりな測定をしない場合でも、「広告を止めた期間に申し込みがどう動いたか」を見るだけで、ある程度の手がかりにはなります。
4. 計測のコードを入れる前に、社内の確認を通しておく
ピクセルやコンバージョンAPIは、自社の顧客の行動を広告側へ送る仕組みです。どの情報を送るのか、プライバシーポリシーにその旨が書かれているかは、入れる前に確認しておくべきことです。
新しい広告の計測コードは、担当者が「とりあえず入れておく」ことが多い部分です。後から法務や情報管理の担当に止められて外すより、最初に通しておくほうが結局早く進みます。
5. 画像の枠は、日本で始まるまで動かなくてよい
画像の枠は、画像を作っている人に商品の使い方を見せる形です。ものを売る会社には向きそうですが、法人向けのサービスを扱う会社には、いまのところ当てはまりにくい形だと私たちは見ています。米国の試験の結果が出て、日本で提供される時期が分かってから考えても遅くありません。
今日やっておけること
発表を待たずに進められるものだけを挙げます。
- 成果の定義を1つ決める。 資料請求なのか、商談なのか、受注なのか。広告の種類に関係なく同じものを使う
- 手柄の決め方を決める。 最後のクリックで数えるのか、途中も含めるのか。すべての広告に同じルールを当てる
- 広告を止めたときの動きを見る習慣をつける。 一時停止した期間の申し込みの増減を記録しておく
- 計測コードを入れる前の確認先を決める。 誰に見せて、何を確認してもらうかを先に決めておく
- 自社が使っている計測の仕組みを書き出す。 新しい広告が来たとき、それが連携先に入っているかをすぐ確かめられるようにする
まとめ
- 2026年10月5日、OpenAIがChatGPTの画像生成中に出る広告の試験と、外部の計測会社・ブランド安全性の検証会社との連携を発表した
- 画像の枠は米国のみ・一部の広告主での試験。無料プランとGoプランの利用者だけに表示される。日本での時期は公式からは確定できない
- 計測は、ピクセルとコンバージョンAPIに加えて、外部の会社でも成果を確かめられる方向に進んだ
- 発表に載った成果の事例はOpenAIと提携先によるもので、第三者の検証ではない
- 比べられるようになる前に、成果の定義と手柄の決め方を自社で決め、どの広告にも同じものを当てておくこと
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本記事の内容は2026年10月時点のものです。
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