GA4のデータをAIに読ませて、週次レポートを人が「読むだけ」にした — 自動にしたところと、しなかったところ
GA4とSearch Consoleの数字を毎週AIに取りに行かせ、気づきと次の手まで書かせて、人は読んで決めるだけにした自社の構成です。何を機械に任せ、何を人に残したか。そして「気づきだけが増える」問題をどう止めたかを書きます。
サイトのレポート作りは、作業としては単純です。管理画面を開き、数字を写し、先週と比べて、ひとこと添える。単純だからこそ、忙しい週から順に飛ばされていきます。
この記事では、その週次レポートをAIエージェントに任せ、人は読んで決めるだけにした自社の構成を書きます。
先にお断りしておきます。この記事には、アクセス数や申し込み数などの実数は書きません。 書くのは、何を自動にし、何を人に残し、どこでつまずいたか、という仕組みの話です。
結論を先に書きます。
- 自動にしたのは「集める・並べる・比べる・下書きする」まで。 数字を取りに行くところから、気づきと次の手の案を書くところまでは機械がやります
- 人に残したのは「どれをやるか決める」ことと「結果の良し悪しを判定する」こと。 ここは渡していません
- いちばん効いたのは、施策ごとに「判定日」を先に決めておくこと。 これが無いと、数字が動いていないのに気づきだけが毎週増えていきます
先に、言葉を揃えます
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| GA4 | Googleアナリティクスのこと。どこから何人来て、何人が申し込んだか、というサイト全体の流れを見る道具 |
| Search Console | Googleが無料で出している道具。Google検索で、どんな言葉で調べた人に自社のページが出て、何回押されたかが分かる |
| 訪問(セッション) | 1人の人がサイトに来てから離れるまでの、ひとまとまりの行動 |
| 流入経路(チャネル) | その訪問がどこから来たか。検索、広告、SNS、URLの直接入力など |
| AIエージェント | 指示を受けて、道具を使いながら一連の作業を自分で進めるAI。ここでは「データを取りに行き、表にし、文章を書く」までをやるもの |
なぜ週次レポートから自動にしたのか
私たちは自社で28体のAIエージェントを動かしていますが、最初に任せたのはレポートでした。理由は4工程にエージェントを配置した記事にも書いたとおり、間違いに気づきやすいからです。
文章の仕事は、多少おかしくても「なんとなく良さそう」で通ってしまいます。数字の表は違います。先週の倍になっていたり、ゼロになっていたりすれば、読んだ瞬間に分かります。間違えても、すぐ気づけて、取り返しがつく。 最初にAIに任せる仕事として、これ以上の条件はありません。
構成 — 誰が何をしているか
| 段階 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| 集める | GA4とSearch Consoleから、先週ぶんの数字を取ってくる | エージェント |
| 並べる | サイトごと・流入経路ごとに表にする。申し込みの件数も同じ表に入れる | エージェント |
| 比べる | 前の週・前の月と並べ、大きく動いたところに印を付ける | エージェント |
| 下書きする | 「気づき」と「次の手の案」を文章で書く | エージェント |
| 決める | 案のうち、どれをやるか、やらないかを決める | 人 |
| 判定する | やった施策が効いたかどうかを判断する | 人 |
いま見ているのは、私たちが運営している3つのサイトです。それぞれ別々にGA4を入れているので、エージェントはサイトごとに数字を取りに行き、1枚のレポートにまとめています。
人が読むのは、下の2段だけ
レポートの冒頭には、表ではなく「気づき」と「次の手の案」を置いています。表はその根拠として後ろに付けているだけです。
人が毎週やっているのは、冒頭を読んで「この案はやる」「これはやらない」と決めることです。管理画面を開くのは、気づきが腑に落ちなかったときだけにしています。
組んでみて分かった、数字の落とし穴
仕組みより先に書いておきたいのが、数字をそのまま機械に読ませると、もっともらしい間違いを書くことです。実際に私たちのサイトで起きたものを挙げます。
意味のない訪問が混じる
サイトを公開した直後、「URLの直接入力」からの訪問が目立って多く記録されました。中身を見ると、その大半は海外のデータセンター(クラウド事業者の計算機が集まった場所)からの単発の訪問で、人が読みに来たものではありませんでした。
これをそのままAIに渡すと、「直接の訪問が多い。知名度が上がっている」という気づきを書きます。文章としては筋が通っているので、読む側も信じてしまいます。私たちは、この種の訪問は判断に使わないとレポートの前提に書き、エージェントにも渡しています。
同じ申し込みが二重に数えられる
申し込みの完了を記録する仕組みが、同じ人の同じ申し込みを2回数えていたことがありました。申し込みの管理システム側では1件です。GA4の数字だけを見ていると気づけません。
そのため、申し込みの件数はGA4ではなく、申し込みを実際に受け付けているシステムの件数を正とする、と決めています。GA4の数字は傾向を見るためのものとして扱います。
Search Consoleは遅れて届く
Search Consoleの数字は、2日ほど遅れて出てきます。週の締めの直後に取りに行くと、最後の数日が空っぽで、「週末に検索からの訪問が落ちた」ように見えます。数字を取りに行くのは、この遅れを見込んでからにする必要があります。
GA4では「この申し込みは誰か」が分からない
GA4は個人を特定しない作りです。「検索から来た人のうち、何人が申し込んだか」という傾向は出ますが、「この申し込みは検索から来た人だ」とは言えません。
法人の申し込みは1件の重みが大きいので、私たちはこちらを別の仕組みで補っています。申し込みフォームが送られるときに「最初にどこから来たか」を一緒に記録する形です。週次レポートは傾向を見るもの、1件ごとの素性は申し込みの記録で見るもの、と役割を分けています。
「気づきだけが増える」問題
組んで最初にぶつかったのが、これでした。
AIは毎週、何かしら気づきを書きます。数字は毎週少しずつ動くので、書こうと思えば何かは書けるのです。すると、先週始めたばかりの施策について、効いた・効いていないの話が毎週出てくるようになりました。
訪問が少ないサイトでは、数字の上下のほとんどはたまたまの揺れです。それを毎週解釈していると、施策を始めては止め、また別のことを始める、という落ち着かない運用になります。
施策台帳に「判定日」を先に書く
そこで、やった施策を1つの台帳にまとめ、施策ごとに「いつ判定するか」を始める前に書いておくことにしました。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 施策 | 何を変えたか |
| 始めた日 | いつから効き始めるはずか |
| 判定日 | いつ、効いたかどうかを判断するか |
| 見る数字 | 何が動けば効いたと言えるか |
エージェントには、この台帳も一緒に渡しています。そして、判定日が来ていない施策については、効いた・効いていないを書かない、と決めました。判定日の前の週に書くのは「まだ判定しない」の一行だけです。
狙いは、気づきを2種類に絞ることです。判定日が来た施策の結果と、施策と関係なく大きく動いた数字。それ以外の「たまたまの揺れ」の解釈は、書かせないようにしています。
判定は、人がする
判定日が来た施策について、AIは「数字がこう動いた」とまでは書きます。ただし、それを「効いた」と言うかどうかは人が決めます。
同じ時期に別の変化(季節、他の施策、検索の仕様変更)があれば、数字の動きをその施策の手柄にはできません。その事情を一番知っているのは、施策を決めた本人です。ここは機械に渡していません。
自分の会社で組むなら、先に決めること
道具の選び方より先に、次の4つを決めておくことをおすすめします。
- どの数字を「正」とするか。 申し込みの件数は、GA4か、申し込みを受け付けているシステムか。ずれたときにどちらを信じるか
- 判断に使わない数字は何か。 意味のない訪問や、遅れて届く数字をどう扱うかを、レポートの前提として書いておく
- 判定日をいつにするか。 施策を始める前に決める。始めてから決めると、良い数字が出た日が判定日になります
- 誰が決めるか。 案を出すのは機械、やるかやらないかを決めるのは人。この線を最初に引いておく
どれも、AIを入れる前から本来は決めておくべきことです。AIに任せると、この4つが決まっていないことが、もっともらしい文章として表に出てきます。そういう意味では、自動化は「決めていなかったこと」を見つける作業でもありました。
正直に書いておくこと
- この仕組みで売上が伸びた、とは言えません。 変えたのは、人が手を動かさなくてもレポートが出る形にしたことと、人の仕事を「読んで決める」に絞ったことです
- 訪問が少ないうちは、どんなレポートを作っても判断は強くなりません。 数字が少なければ、機械が読んでも人が読んでも同じです
- AIの書く気づきは、いまも時々外れます。 だから気づきの後ろに必ず根拠の表を付け、人が確かめられる形にしています
まとめ
- 週次レポートは、間違いに気づきやすく取り返しがつくので、最初にAIに任せる仕事に向いている
- 自動にしたのは「集める・並べる・比べる・下書きする」まで。「どれをやるか」と「効いたかどうか」は人が決める
- 意味のない訪問、二重に数えられた申し込み、遅れて届く数字は、そのまま読ませるともっともらしい間違いになる。判断に使わない数字を前提として書いておく
- 施策ごとに判定日を先に決めておくと、「数字が動いていないのに気づきだけが増える」問題が止まる
- GA4は傾向を見るもの。申し込み1件ごとの素性は、申し込みの記録で見る
レポートの数字のうち、LPの中で何が起きたかを見る手順はMicrosoft Clarity で、LPのどこを直すか決める手順に書きました。自動化したあとに元へ戻したものは、集客・教育・販売・計測を全部AIに寄せてみたをご覧ください。
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本記事の内容は2026年9月時点のものです。
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