NEWS 2026.10.10

Claudeの利用規約が11月12日に変わります — 「偽のアカウントや投稿で広める」は、商売の目的でも禁止と明記された

2026年10月8日、AnthropicがClaudeの利用ポリシーの改定を発表しました。発効は11月12日です。発信者を隠す宣伝や、偽のアカウント・投稿で内容を増幅する行為は、政治だけでなく商業目的でも禁止と明記されました。マーケティングの現場で何を確かめるかを整理します。

Claudeの利用規約が11月12日に変わります — 「偽のアカウントや投稿で広める」は、商売の目的でも禁止と明記された — AIマーケティング株式会社

2026年10月8日、AnthropicがClaudeの利用ポリシー(使ってよいこと・いけないことを定めた規約)の改定を発表しました。新しい規約が効力を持つのは2026年11月12日からです。

一次情報はこちらです。

この記事の結論を先に書きます。 マーケティングの現場に関係するのは、新しくできた「欺く宣伝や人工的な活動をしない」という節です。発信者を隠すこと、偽のアカウントや投稿で内容を広めることが、政治だけでなく商売の目的でも対象だと書かれました。 日本ではもともと、広告であることを隠した宣伝(いわゆるステマ)は法律で規制されています。だから、まともに運用している会社にとって、やってよいことが急に減るわけではありません。 ただ、「AIに口コミ風の投稿を量産させる」「担当者の個人アカウントで自社を褒める」といった運用が社内のどこかに残っていないかは、11月12日までに一度確かめておく価値があります。

※この記事は、2026年10月10日時点で公式の発表ページから確認できた内容をもとにしています。私たちは法律の専門家ではありません。個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家に確認してください。

先に、言葉を揃えます

言葉この記事での意味
利用ポリシーAIの提供元が「このAIをこういうことに使ってはいけない」と定めた規約。違反すると利用を止められることがある
発効新しい規約が実際に効力を持つこと。発表の日ではなく、その日から適用される
増幅同じ内容を多くのアカウントや投稿で繰り返し、実際より広く支持されているように見せること
ステマ(ステルスマーケティング)広告であることを隠して、第三者の感想や口コミのように見せる宣伝
human in the loopAIの出した提案を、資格のある人が確認し、必要なら変えられる状態にしておくこと

公式の発表で確認できたこと

発表ページから確認できた範囲だけを書きます。

新しい節「欺く宣伝や人工的な活動をしない」

これまで、選挙・詐欺・プライバシー・偽情報の各節に分かれて書かれていた規定が、ひとつの節にまとめられました。対象として書かれているのは次の3つです。

  • メッセージの発信者を隠すこと
  • 偽のアカウントや投稿で、内容を増幅すること
  • 影響工作(世論を意図的に動かす活動)のための道具や仕組みを作ること

そして、これが政治的な活動にも、商業的な活動にも当てはまると明記されています。マーケティングの現場から見て大事なのは、この「商業的な活動にも」の部分です。

健康・金融などに関わる用途の要件は「変わっていない」

健康、法的な権利、お金、生計、生活に欠かせないサービスに影響する製品でClaudeを使う場合の要件は、今回の改定でも変わっていないと公式は書いています。

  • 資格のある人が、Claudeの提案を確認して変えられる権限を持っていること
  • 影響を受ける本人に、AIを使ったことを伝えること

今回の改定では、どんな種類の提案がこの対象になり、どれがならないのかを、規約の中で明記したとされています。

そのほかの変更

  • 選挙の節は「民主的な手続きを損なわない」に名前が変わり、有権者を欺く行為に焦点が絞られました
  • 同意のない人を追跡すること(その場での追跡も、集めたデータをあとから分析することも)が禁止として明確に書かれました。一方で、不正を見つけるための監視や、投稿内容の審査など、同意のある用途は認められています
  • 武器、物理的に動く機器、モデルへの執拗な嫌がらせ、提供地域についての規定も整理されました

確認できていないこと

ここは正直に書きます。

  • 広告や口コミという言葉は、発表ページに出てきません。 「商業的な活動も対象」と書かれているだけです。どんな宣伝が違反と判断されるのか、具体的な線は発表ページからは読み取れません
  • AIで作った文章に「AIで作りました」と書く義務が、一般にできたわけではありません。 AIを使ったことを本人に伝える要件は、健康・金融などの高リスクの用途に限った話で、しかも今回変わったものではありません
  • 違反したときに、どう運用されるか。 個別の判断の基準は公表されていません

で、マーケティングの現場にどう効くのか

ここから先が、この記事で書きたかったところです。

1. 日本では「すでに法律で決まっていること」の再確認になる

日本では2023年10月1日から、広告であることを隠した宣伝が景品表示法の違反になっています。規制の対象は、投稿した個人ではなく、その内容に関わった広告主の側です(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)。

つまり、法律を守って運用している会社にとって、今回の改定で「急にできなくなること」はほとんどありません。変わるのは、同じことをAIでやった場合、法律だけでなく道具の側の規約にも触れるとはっきりした点です。最悪の場合、仕事で使っているAIそのものが止められるかもしれない、という種類のリスクが加わります。

2. 「AIで量産しやすいもの」ほど、線の近くにある

AIは、似た文章を大量に、少しずつ言い回しを変えて作るのが得意です。だから、次のような運用は、人が手でやっていた頃より簡単に、大きな規模でできてしまいます。

運用確かめるポイント
口コミ・レビュー風の文章の作成実際の購入者の声か。自社が書いたものを第三者の声として見せていないか
社員・関係者の個人アカウントでの投稿会社の依頼で書いているなら、その関係が読み手に分かるか
複数のSNSアカウントの運用同じ会社が運用していることを隠して、別々の人の意見に見せていないか
インフルエンサーへの依頼文の作成依頼した投稿に、広告であることの表示が入る段取りになっているか
投稿の自動化反応を水増しする目的で、同じ内容を複数のアカウントから流していないか

どれも「AIを使ったからダメ」なのではありません。誰が言っているのかを隠しているかどうかが分かれ目です。自社の名前で、自社の意見として出しているなら、AIで下書きを作っても問題の種類が違います。

3. 外注先・代理店の使い方も含めて確かめる

自社では何もしていなくても、SNS運用や口コミ施策を外に任せている場合、依頼先がAIで何をしているかは見えにくいものです。景品表示法の考え方でも、内容の決定に関わった広告主の側が問われます。依頼先に一度、「投稿の作り方と、誰の名前で出しているか」を聞いておくのが現実的です。

4. 健康・お金に関わる商材なら、もう一段だけ確認する

健康食品、医療、保険、金融商品などを扱っていて、Claudeを使って顧客ごとに提案を出す仕組みを作っている場合は、高リスクの用途に当たらないかを規約の本文で確かめてください。当たるなら、資格のある人の確認と、AIを使ったことの告知が必要です。広告の文面を作るだけなのか、個人への推奨を出しているのか。そこが分かれ目になりそうですが、私たちはまだ規約の本文で線の位置を確かめられていません。

私たちが変えなかったこと

私たちは自社のマーケティングをAIエージェントで回していますが、外に出るものはすべて自社の名前で出し、出る直前に人が確認しています(どこに確認を置いているかはマーケティングを4工程に分け、AIエージェントを配置するに書きました)。今回の改定を読んで、この形を変える必要は感じませんでした。

承認の線を引いておく理由は、AIの出来の良し悪しよりも、自社が何を言う会社なのかを、自社で決めておくためです。誰が言っているのかを隠さないことは、その一番手前にある約束だと考えています。

まとめ

  • 2026年10月8日、AnthropicがClaudeの利用ポリシーの改定を発表しました。発効は2026年11月12日です
  • 新しい節で、発信者を隠すことや、偽のアカウント・投稿で内容を広めることが、政治だけでなく商業目的でも対象と明記されました
  • 健康・金融などの高リスクの用途の要件(人の確認と、AIを使ったことの告知)は変わっていません
  • 発表ページに「広告」「口コミ」という言葉は出てこず、具体的な線はまだ読み取れません。AIで作った文章一般に明記の義務ができたわけでもありません
  • 日本ではもともとステマは景品表示法の違反です。法律を守っている会社にとっては、AIでの量産や外注先の運用を含めた「再確認」の機会になります

あわせて読んでいただきたい記事です。

AIに何を任せ、どこに人の確認を置くか。私たちが自社で引いている線と、つまずいたところをまとめた無料レポート『AIエージェント導入の実際』をこちらでお配りしています。A4・全11ページ、自己診断シート付きです。自社の運用を見直すときの材料にしてください。


本記事の内容は2026年10月時点のものです。

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