FUNNEL 2026.09.29

ステップメールをAIに書かせる — 分岐と配信条件は人が決め、AIには「事実の一覧」と「禁止事項」を渡す

登録した日を起点に、決まった順番でメールを届けるステップメール。AIに任せるのは本文だけで、誰に・いつ・どの順で送るかは人が決めています。MyASPとMailchimpで組んでいる自社の分担と、AIに渡しているものをそのまま書きます。

ステップメールをAIに書かせる — 分岐と配信条件は人が決め、AIには「事実の一覧」と「禁止事項」を渡す — AIマーケティング株式会社

メールの文面をAIに書かせること自体は、もう難しくありません。難しいのは、どこまで書かせてよいかの線を引くことです。

この記事では、資料請求などで登録してくれた方に、決まった順番でメールを届ける仕組み(ステップメール)を、私たちがどう組んでいるかを書きます。使っている道具は MyASP と Mailchimp です。

先にお断りしておきます。この記事には、配信数や開封率などの実数は書きません。 書くのは、誰が何を決め、AIに何を渡しているか、という分担の話です。

結論を先に書きます。

  • AIに書かせるのは本文だけ。 誰に、いつ、どの順で送るか(分岐と配信条件)は人が決めています
  • AIには「使ってよい事実の一覧」と「書いてはいけないことの一覧」を渡します。 上手な文章を頼むより、この2つを渡すほうが事故が減ります
  • 流れは「教育 → 販売 → フォロー」の順で固定しています。 順番そのものをAIに考えさせることはしていません

先に、言葉を揃えます

言葉この記事での意味
ステップメール登録した日を起点に、あらかじめ決めた順番と間隔でメールが自動で届く仕組み。毎回手で送るメルマガとは別物です
配信システム登録した人のメールアドレスを預かり、まとめてメールを送る道具。MyASP と Mailchimp はどちらもこれにあたります
分岐読者の状態によって、次に届くメールを変えること。たとえば「資料を受け取った人」と「まだの人」で中身を変える、といったものです
配信条件そのメールを「誰に」「いつ」送るかの決まりのこと
タグ配信システムの中で、読者一人ひとりに付けておく目印。「どこから来た人か」などを残せます

全体の分担 — AIの持ち場は本文だけ

ステップメールを作る仕事を分解すると、次のようになります。

工程誰がやるか理由
全体の順番を決める(教育→販売→フォロー)人売り方そのものの設計なので、ここは渡しません
分岐を決める人読者のどの状態で道を分けるかは、事業の判断です
配信条件を決める人間違えると、送ってはいけない人に届きます
1通ごとの役割を決める人「この1通で何を分かってもらうか」を一行で書きます
本文を書くAI役割と材料が決まっていれば、ここは任せられます
本文を読んで直す人約束や条件の書き方は、人が最後に見ます
配信システムに登録する人外に出る直前なので、人が持っています

線を引いている基準は、ほかの仕事と同じです。間違えたときに取り返しがつくかどうか。 本文は何度書き直しても誰にも迷惑がかかりません。一方で、配信条件を間違えたメールは、届いた時点で取り消せません。この考え方はAIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかに詳しく書きました。

順番を「教育 → 販売 → フォロー」で固定している理由

登録してくれた方は、まだこちらのことをよく知りません。その状態でいきなり申し込みを勧めても、読まれずに終わります。そこで私たちは、流れを次の3段で固定しています。

  1. 教育 — 登録のきっかけになった悩みについて、判断の材料を渡す段階。売り込みはしません
  2. 販売 — 材料が渡ったあとで、はじめて申し込みの案内を出す段階
  3. フォロー — 申し込んだ人・申し込まなかった人それぞれに、次の一歩を示す段階

この順番をAIに考えさせない理由は単純です。順番は、ダイレクトレスポンスの実務で何度も試して決まってきた、売り方の骨格だからです。 AIに任せると、そのたびにもっともらしい別の順番が出てきます。どれも間違いとは言えないぶん、毎回ぶれます。骨格は人が固定し、その中の1通ずつをAIが埋める、という分け方にしています。

分岐は、少なく作る

分岐は作ろうと思えばいくらでも作れます。ただ、分岐を1つ増やすと、書く本文も、確認する組み合わせも増えます。私たちが分岐を作るときに自分に聞いているのは、次の2つだけです。

  • その分岐で、読者にとって必要な情報が本当に変わるか。 変わらないなら、分けずに同じメールを送ります
  • その分岐の条件を、配信システムが確実に判定できるか。 判定があいまいな条件で分けると、どちらの道にも入らない人が出ます

分岐の数が多いほど丁寧に見えますが、運用で崩れるのはたいてい分岐の多いところです。

2つの配信システムを使い分けている

私たちのサイトの資料請求フォームから登録があると、その登録は MyASP と Mailchimp の両方に書き込まれます。Mailchimp 側には「どこから来た人か」がタグとメモで残るようにしています。

どちらのシステムにどの読者向けの配信を任せるかは、読者の属性で分けています。 道具ごとに得意なことはありますが、先に「どんな読者に何を届けるか」を決め、それに合う道具を割り当てる順番にしています。道具から決めると、道具の機能に合わせて売り方が曲がるからです。

もう1つ意識しているのは、文面を書く側と、配信システムに書き込む側を分けておくことです。こうしておくと、配信の道具を見直すことになっても、文面を書く仕組みまで作り直さずに済みます。この分け方の考え方はメルマガの下書きができるまでを、人が触らない形にしたに書いています。

AIに渡しているもの — 「事実の一覧」と「禁止事項」

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。本文をAIに書かせるとき、私たちが渡しているのは「良いメールを書いて」という依頼ではありません。次の2つの一覧です。

使ってよい事実の一覧

載せるものなぜ要るか
商品やサービスの中身AIは知らないことを、それらしく補って書きます
実績として言ってよいこと言ってよい範囲を先に決めておかないと、盛った表現が混ざります
数字数字は一覧にあるものだけ使ってよい、と決めています
この1通の役割「教育の2通目で、何を分かってもらうか」を一行で

AIは、材料が足りないと足りない部分を自分で埋めます。 埋めた部分は文章としては自然なので、読んでも気づきにくい。だから「知っていること」を先に全部渡し、それ以外は書かせない形にしています。

この考え方は、このサイトの記事づくりでも同じです。記事の中の数字は、あらかじめ裏を取った一覧にあるものだけが使えて、一覧に無い数字が入った原稿は、公開の前に機械が止めます。メールでも同じ発想をとっています。

書いてはいけないことの一覧

  • 一覧に無い数字や実績
  • 実在しない人物の体験談や、架空のお客様の声
  • 「必ず」「誰でも」のような、約束しすぎる言い方
  • 期限や在庫で急かす表現のうち、事実でないもの
  • 他社を下げて自社を上げる書き方

禁止事項は、書いてほしいことより先に決めています。書いてほしいことは人が読めば直せますが、書いてはいけないことが一度届くと、取り消せないからです。

人が最後に直している場所

AIが書いた本文は、そのまま登録していません。人が読んで、特に次の3つを見ています。

  • 件名 — 開かれるかどうかはここで決まります
  • 申し込みの条件や約束の書き方 — 事実と食い違っていないか
  • 1通の役割から外れていないか — 教育の段で売り込みが混ざっていないか

AIの文章は、1通だけ読むとよくできています。ずれが見つかるのは、流れの中で読んだときです。前後のメールと並べて、その1通が役割を果たしているかを見るのは、いまも人の仕事です。

まとめ

  • ステップメールでAIに任せているのは本文だけです。順番・分岐・配信条件は人が決めています
  • 流れは教育 → 販売 → フォローで固定しています。骨格を人が決め、1通ずつをAIが埋める分け方です
  • 分岐は、読者に必要な情報が変わるときと、配信システムが確実に判定できるときだけ作ります
  • 配信システムは、読者の属性で先に分け、それに道具を割り当てる順番で使い分けています
  • AIに渡すのは**「使ってよい事実の一覧」と「書いてはいけないことの一覧」**です。材料が足りないと、AIは自然な文章で穴を埋めてしまいます
  • 人が最後に見るのは、件名・約束の書き方・その1通の役割です。ずれは流れの中で読んだときに見つかります

メルマガの下書きをAIに作らせるときの手順は、メルマガの下書きをAIに作らせるにまとめています。販売の段の文章をどう組むかは、セールスレターをAIに書かせるも参考になるはずです。

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本記事の内容は2026年9月時点のものです。

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