ステップメールをAIに書かせる — 分岐と配信条件は人が決め、AIには「事実の一覧」と「禁止事項」を渡す
登録した日を起点に、決まった順番でメールを届けるステップメール。AIに任せるのは本文だけで、誰に・いつ・どの順で送るかは人が決めています。MyASPとMailchimpで組んでいる自社の分担と、AIに渡しているものをそのまま書きます。
メールの文面をAIに書かせること自体は、もう難しくありません。難しいのは、どこまで書かせてよいかの線を引くことです。
この記事では、資料請求などで登録してくれた方に、決まった順番でメールを届ける仕組み(ステップメール)を、私たちがどう組んでいるかを書きます。使っている道具は MyASP と Mailchimp です。
先にお断りしておきます。この記事には、配信数や開封率などの実数は書きません。 書くのは、誰が何を決め、AIに何を渡しているか、という分担の話です。
結論を先に書きます。
- AIに書かせるのは本文だけ。 誰に、いつ、どの順で送るか(分岐と配信条件)は人が決めています
- AIには「使ってよい事実の一覧」と「書いてはいけないことの一覧」を渡します。 上手な文章を頼むより、この2つを渡すほうが事故が減ります
- 流れは「教育 → 販売 → フォロー」の順で固定しています。 順番そのものをAIに考えさせることはしていません
先に、言葉を揃えます
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| ステップメール | 登録した日を起点に、あらかじめ決めた順番と間隔でメールが自動で届く仕組み。毎回手で送るメルマガとは別物です |
| 配信システム | 登録した人のメールアドレスを預かり、まとめてメールを送る道具。MyASP と Mailchimp はどちらもこれにあたります |
| 分岐 | 読者の状態によって、次に届くメールを変えること。たとえば「資料を受け取った人」と「まだの人」で中身を変える、といったものです |
| 配信条件 | そのメールを「誰に」「いつ」送るかの決まりのこと |
| タグ | 配信システムの中で、読者一人ひとりに付けておく目印。「どこから来た人か」などを残せます |
全体の分担 — AIの持ち場は本文だけ
ステップメールを作る仕事を分解すると、次のようになります。
| 工程 | 誰がやるか | 理由 |
|---|---|---|
| 全体の順番を決める(教育→販売→フォロー) | 人 | 売り方そのものの設計なので、ここは渡しません |
| 分岐を決める | 人 | 読者のどの状態で道を分けるかは、事業の判断です |
| 配信条件を決める | 人 | 間違えると、送ってはいけない人に届きます |
| 1通ごとの役割を決める | 人 | 「この1通で何を分かってもらうか」を一行で書きます |
| 本文を書く | AI | 役割と材料が決まっていれば、ここは任せられます |
| 本文を読んで直す | 人 | 約束や条件の書き方は、人が最後に見ます |
| 配信システムに登録する | 人 | 外に出る直前なので、人が持っています |
線を引いている基準は、ほかの仕事と同じです。間違えたときに取り返しがつくかどうか。 本文は何度書き直しても誰にも迷惑がかかりません。一方で、配信条件を間違えたメールは、届いた時点で取り消せません。この考え方はAIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかに詳しく書きました。
順番を「教育 → 販売 → フォロー」で固定している理由
登録してくれた方は、まだこちらのことをよく知りません。その状態でいきなり申し込みを勧めても、読まれずに終わります。そこで私たちは、流れを次の3段で固定しています。
- 教育 — 登録のきっかけになった悩みについて、判断の材料を渡す段階。売り込みはしません
- 販売 — 材料が渡ったあとで、はじめて申し込みの案内を出す段階
- フォロー — 申し込んだ人・申し込まなかった人それぞれに、次の一歩を示す段階
この順番をAIに考えさせない理由は単純です。順番は、ダイレクトレスポンスの実務で何度も試して決まってきた、売り方の骨格だからです。 AIに任せると、そのたびにもっともらしい別の順番が出てきます。どれも間違いとは言えないぶん、毎回ぶれます。骨格は人が固定し、その中の1通ずつをAIが埋める、という分け方にしています。
分岐は、少なく作る
分岐は作ろうと思えばいくらでも作れます。ただ、分岐を1つ増やすと、書く本文も、確認する組み合わせも増えます。私たちが分岐を作るときに自分に聞いているのは、次の2つだけです。
- その分岐で、読者にとって必要な情報が本当に変わるか。 変わらないなら、分けずに同じメールを送ります
- その分岐の条件を、配信システムが確実に判定できるか。 判定があいまいな条件で分けると、どちらの道にも入らない人が出ます
分岐の数が多いほど丁寧に見えますが、運用で崩れるのはたいてい分岐の多いところです。
2つの配信システムを使い分けている
私たちのサイトの資料請求フォームから登録があると、その登録は MyASP と Mailchimp の両方に書き込まれます。Mailchimp 側には「どこから来た人か」がタグとメモで残るようにしています。
どちらのシステムにどの読者向けの配信を任せるかは、読者の属性で分けています。 道具ごとに得意なことはありますが、先に「どんな読者に何を届けるか」を決め、それに合う道具を割り当てる順番にしています。道具から決めると、道具の機能に合わせて売り方が曲がるからです。
もう1つ意識しているのは、文面を書く側と、配信システムに書き込む側を分けておくことです。こうしておくと、配信の道具を見直すことになっても、文面を書く仕組みまで作り直さずに済みます。この分け方の考え方はメルマガの下書きができるまでを、人が触らない形にしたに書いています。
AIに渡しているもの — 「事実の一覧」と「禁止事項」
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。本文をAIに書かせるとき、私たちが渡しているのは「良いメールを書いて」という依頼ではありません。次の2つの一覧です。
使ってよい事実の一覧
| 載せるもの | なぜ要るか |
|---|---|
| 商品やサービスの中身 | AIは知らないことを、それらしく補って書きます |
| 実績として言ってよいこと | 言ってよい範囲を先に決めておかないと、盛った表現が混ざります |
| 数字 | 数字は一覧にあるものだけ使ってよい、と決めています |
| この1通の役割 | 「教育の2通目で、何を分かってもらうか」を一行で |
AIは、材料が足りないと足りない部分を自分で埋めます。 埋めた部分は文章としては自然なので、読んでも気づきにくい。だから「知っていること」を先に全部渡し、それ以外は書かせない形にしています。
この考え方は、このサイトの記事づくりでも同じです。記事の中の数字は、あらかじめ裏を取った一覧にあるものだけが使えて、一覧に無い数字が入った原稿は、公開の前に機械が止めます。メールでも同じ発想をとっています。
書いてはいけないことの一覧
- 一覧に無い数字や実績
- 実在しない人物の体験談や、架空のお客様の声
- 「必ず」「誰でも」のような、約束しすぎる言い方
- 期限や在庫で急かす表現のうち、事実でないもの
- 他社を下げて自社を上げる書き方
禁止事項は、書いてほしいことより先に決めています。書いてほしいことは人が読めば直せますが、書いてはいけないことが一度届くと、取り消せないからです。
人が最後に直している場所
AIが書いた本文は、そのまま登録していません。人が読んで、特に次の3つを見ています。
- 件名 — 開かれるかどうかはここで決まります
- 申し込みの条件や約束の書き方 — 事実と食い違っていないか
- 1通の役割から外れていないか — 教育の段で売り込みが混ざっていないか
AIの文章は、1通だけ読むとよくできています。ずれが見つかるのは、流れの中で読んだときです。前後のメールと並べて、その1通が役割を果たしているかを見るのは、いまも人の仕事です。
まとめ
- ステップメールでAIに任せているのは本文だけです。順番・分岐・配信条件は人が決めています
- 流れは教育 → 販売 → フォローで固定しています。骨格を人が決め、1通ずつをAIが埋める分け方です
- 分岐は、読者に必要な情報が変わるときと、配信システムが確実に判定できるときだけ作ります
- 配信システムは、読者の属性で先に分け、それに道具を割り当てる順番で使い分けています
- AIに渡すのは**「使ってよい事実の一覧」と「書いてはいけないことの一覧」**です。材料が足りないと、AIは自然な文章で穴を埋めてしまいます
- 人が最後に見るのは、件名・約束の書き方・その1通の役割です。ずれは流れの中で読んだときに見つかります
メルマガの下書きをAIに作らせるときの手順は、メルマガの下書きをAIに作らせるにまとめています。販売の段の文章をどう組むかは、セールスレターをAIに書かせるも参考になるはずです。
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本記事の内容は2026年9月時点のものです。
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