FUNNEL 2026.09.17

メルマガの下書きをAIに作らせる — 使うAIを選ぶ前に決めることと、人が直す3箇所

メルマガの下書きをAIに作らせるとき、GeminiとClaudeのどちらが向いているかで悩む方が多いのですが、私たちは使い分けていません。出来を決めていたのは記事の渡し方のほうでした。実際の手順と、人が件名・冒頭・締めのどこを直しているかを書きます。

メルマガの下書きをAIに作らせる — 使うAIを選ぶ前に決めることと、人が直す3箇所 — AIマーケティング株式会社

メールマガジンをAIに書かせようとして、最初の一歩で止まっている方は多いと思います。止まる場所はたいてい同じで、「どのAIを使えばいいのか」です。Geminiなのか、Claudeなのか、ChatGPTなのか。比較記事を読んでも書いてあることが違うので、決まらないまま時間が過ぎます。

私たちの答えを先に書きます。

私たちは、メルマガの下書きでAIを使い分けていません。 下書きの出来を決めていたのは、どのAIを使うかではなく、記事のどこを渡すかと、そのメールに何をさせたいのかを先に決めてあるかでした。人が直すのは、件名・冒頭・締めの3箇所だけです。

順に書きます。

先に、言葉を揃えます

この記事に出てくる言葉を、先に説明しておきます。

  • メールマガジン(メルマガ)— 登録してくれた人に、まとめて送るメールのことです
  • 配信システム — 登録者のメールアドレスを預かって、まとめて送るための道具です。私たちが使っているものはメルマガの下書きができるまでを、人が触らない形にしたに書きました
  • 下書き — 配信システムの中に、宛先も本文もできているが、まだ送っていない状態で置いてあるものです
  • 件名 — 受信箱の一覧に並ぶ1行のことです。開くかどうかは、ほぼここで決まります
  • モデル — GeminiやClaudeのような、AI本体につけられた名前です。同じ会社のものでも種類が分かれています

「GeminiとClaude、どちらで書くか」を、私たちは分けていません

正直に書きます。私たちのメルマガの下書きは、Claudeで作っています。Geminiをこの工程には入れていません。用途によって呼び分ける、ということもしていません。

分けていない理由は2つです。

1つめは、壊れたときに切り分けが増えるからです。 下書きの文面がおかしいとき、原因が「渡した材料が悪かった」のか「指示が曖昧だった」のか「そのAIの癖」なのかを見に行くことになります。使うAIが1つなら、疑う場所が1つ減ります。毎日動かす仕組みでは、この差が効いてきます。

2つめは、比べていないからです。 同じ材料と同じ指示で、GeminiとClaudeに同じメールを書かせて並べる、という検証を私たちはしていません。やっていない以上、どちらが向いているとは書けません。世の中にある「AならBより優れている」という比較の多くは、材料も指示も揃っていない状態の比較です。それを根拠に自社の仕組みを決めるのは、おすすめしません。

そのかわり、この記事に書く手順は、特定のAIに依存しない形にしてあります。Geminiで試す方も、そのまま使えます。 実際、ここから先に出てくる話にモデル名は一度も出てきません。それが結論でもあります。

AIに渡すのは、記事の全文ではありません

いちばん多い失敗から書きます。公開した記事の全文をそのまま貼って「メルマガにして」と頼むやり方です。

これをやると、要約が返ってきます。日本語としては整っています。問題は、要約がメールとして弱いことです。

理由は単純で、要約を読むと、読んだ気になってしまうからです。メールの中で話が完結していると、記事を開く理由が消えます。私たちはメールを「入口」、記事を「本体」と決めているので、これは目的と逆のことが起きている状態です。

そこで、渡すものを4つに絞っています。

渡すもの中身なぜ要るか
記事の結論記事でいちばん言いたいことを1行でメールの先頭に置くものです。ここが決まらないと全体が決まりません
読む人の状況職種ではなく、いまどう困っているか「マーケティング担当者」と書くと一般論が返ってきます
このメールにさせたいこと記事を開いてもらうこと迷うと、AIは「いろいろ紹介する」形に寄せてきます
書いてはいけないこと下に書きます指示しないと出ます

4つめの「書いてはいけないこと」は、毎回同じものを貼っています。

  • 渡した記事に書いていないことを足さない
  • 渡した数字を計算して、新しい数字を作らない
  • 実在しない人の声や、実在しない事例を作らない
  • 「必ず」「誰でも」のような、確かめようのない言い切りを使わない

3つめは、指示しないと本当に出てきます。「読者の方からこんな声が届きました」という一文が、それらしい形で入っている。文章として自然なので、流し読みでは通ってしまいます。同じことはセールスレターでも広告文でも起きるので、私たちはどの工程でも同じ禁止事項を使い回しています。詳しくはセールスレターをAIに書かせるに書きました。

人が直すのは3箇所だけ

出てきた下書きを、人が読みます。ここで「良い/悪い」で読まないのが大事なところです。読む場所を先に決めておきます。

直す場所何を見るか
件名受信箱に並んだとき、他のメールと区別がつくか
冒頭の数行読む人の状況から始まっているか。こちらの都合から始まっていないか
締め次に何をすればいいのかが、1つだけ書かれているか

件名

AIが出す件名は、たいてい記事のタイトルの言い換えになります。記事のタイトルは検索で見つけてもらうためのもので、受信箱で戦うようにはできていません

見るのは1点だけです。受信箱の一覧に並んだとき、他のメールに紛れないかどうか。整っているかどうかではありません。整った件名は、整った件名の群れの中で見えなくなります。

案を複数出させて、こちらが選ぶ形にしています。選ぶ基準は「自分が受信箱で見つけたら開くか」です。この判断は、AIに代わってもらえませんでした。

冒頭の数行

メールは、別のことをしている最中に届きます。記事のように「その話を読みに来た人」が開くわけではありません。だから冒頭で必要なのは、話の前置きではなく、読む人がいま置かれている状況です。

AIが書く冒頭は、こちら側の都合から始まりがちです。「新しい記事を公開しました」「先日の続きです」——書いた側の事情であって、読む人の事情ではありません。ここを、読む人が困っている場面から始まる形に書き直します。

直す量としては数行です。ただし、ここを直さないと、そのあとを読んでもらえません。

締め

最後に、次にすることを書きます。1つだけにします。

AIは、締めに複数の行き先を並べてきます。記事を読む、返信する、資料を見る、SNSで知らせる。丁寧に見えますが、選択肢が増えるほど何もされなくなります。ここは削る作業です。

直さないと決めているところ

決めておかないと、いくらでも時間が溶けます。私たちが触らないのは次の部分です。

  • 語尾やリズム — 気になり始めると終わりません。直しても反応はほとんど変わりませんでした
  • 長さの微調整 — 削るかどうかは内容で決めます。文字数を目標にすると、削るべきでないところが削られます
  • 表現の好み — 「もっと良い言い方があるはず」で止まるくらいなら、出すほうを選んでいます

私たちがダイレクトレスポンスマーケティング — 広告や文章を出して、その場で反応をもらう売り方のことです — を10年やってきて分かったのは、反応が変わるのは言い回しではなく、誰に何を言うかのほうだということです。直す場所を3箇所に絞っているのは、手を抜いているからではなく、そこ以外は結果が変わらなかったからです。

同じ考え方を広告文にも使っています。手順はChatGPTで広告文を作る手順にあります。

この手順が向かないとき

正直に書いておきます。

記事そのものが弱いときには効きません。メールは入口で、記事が本体です。本体が薄いと、入口をどれだけ直しても、開いた人ががっかりするだけです。この場合は記事に戻るのが先です。

送る相手が決まっていないときも止まります。「登録者全員」は相手の定義ではありません。誰がどういう状況で読むのかが決まっていないと、AIに渡す2つめの材料が書けず、返ってくるのは一般論になります。

毎回違う人が書いている場合は、先に手順を1つに揃えるほうが先です。人によって渡す材料が違うと、出てくるものの質が揃わず、「AIは使えない」という結論になりがちです。原因はAIではなく、渡し方が揃っていないことのほうです。

私たちは2026年8月時点で28体のエージェントを動かしていますが、増やす前にやったのはこの「渡し方を揃える」作業でした。順番を逆にすると、揃っていないものが増えるだけになります。

まとめ

  • 使うAIを選ぶことは、最初に決めることではありません。 私たちは使い分けておらず、1つに寄せています
  • 分けていない理由は、壊れたときの切り分けが増えることと、比べていないので優劣を言えないことの2つです
  • 記事の全文を渡すと要約が返ってきます。要約はメールとして弱い。読んだ気になると、記事を開く理由が消えるからです
  • 渡すのは4つ — 記事の結論・読む人の状況・このメールにさせたいこと・書いてはいけないこと
  • 禁止事項には「実在しない人の声や事例を作らない」を必ず入れます。指示しないと出ます
  • 人が直すのは3箇所 — 件名・冒頭の数行・締め
  • 件名は、整っているかではなく受信箱で紛れないかで見ます。選ぶ判断は人が持ちます
  • 冒頭は、こちらの都合ではなく読む人の状況から始めます
  • 締めに置く行き先は1つだけにします。選択肢が増えるほど何もされなくなります
  • 語尾・リズム・長さの微調整は直しません。時間の割に結果が変わりません

記事からメールの下書きまでを人が触らない形にした実装そのものは、メルマガの下書きができるまでを、人が触らない形にしたに書いています。どこまでをAIに任せ、どこから人が持つのかという線の引き方は、AIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかにまとめました。

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本記事の内容は2026年9月時点のものです。

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