GEO 2026.09.04

llms.txt の書き方 — AIに自社を正しく説明させるための1枚を、30分で作る

AI向けに自社を説明するテキストファイル「llms.txt」を、自社サイトに実際に置いた手順を公開します。何を書き、何を書かず、どう更新を止めない形にしたか。効果がどこまで言えるかも正直に書きます。

「llms.txt は置いたほうがいいですか」と聞かれることが増えました。結論から書きます。

置いたほうがいいですが、置けば何かが起きるファイルではありません。 作業は30分ほどで終わります。そのわりに「自社が何者か」をAIに向けて自分たちの言葉で固定できるので、手間に対する割は悪くない。その程度の位置づけです。

この記事では、llms.txt とは何か、私たちが自社サイトに何を書いて何を書かなかったか、書いたあと何が起きたかを書きます。私たちが実際に置いているものは https://www.ai-marketing.co.jp/llms.txt でそのまま読めます。以下の話は、すべてその実物を前提にしています。

llms.txt とは何か

まず言葉から。

llms.txt=サイトの一番上の階層に置く、AIに読ませるための説明書き。「この会社は何者で、どのページに何が書いてあるか」を、飾りのない文章でまとめたテキストファイル。

「AIに読ませる」と書きましたが、ここでいうAIは ChatGPT や Perplexity、Gemini のように、質問に文章で答えるサービスのことです。これらは答えを作るとき、その場でウェブ上のページを読みにいくことがあります。そのときに読ませる用の1枚、と考えてください。

似たファイルに robots.txt があります。こちらは昔からあるもので、検索エンジンの巡回プログラム(サイトを自動で見て回り、内容を集めていくプログラム)に対して「ここは見ていい、ここは見ないで」と伝えるための指示書です。llms.txt は目的が違います。禁止や許可ではなく、内容そのものを渡します。

robots.txtllms.txt
相手検索エンジンの巡回プログラム質問に答える生成AI
中身見ていい場所・ダメな場所会社の説明と、主要ページの案内
書き方決まった命令文ふつうの日本語(見出しと箇条書き)
歴史長く使われている有志から提案された、新しい書き方

最後の行が重要です。llms.txt は、検索エンジンやAI各社が「読みます」と公式に表明したファイルではありません。 有志が提案した書き方が広まっているだけです。ここを踏まえずに「置けばAIに引用される」と説明する記事があれば、その説明は先走っています。

それでも置く理由

公式でないなら置く意味はあるのか。私たちは置きました。理由は2つです。

1. AIが自社を説明するときの「元ネタ」を、こちらから渡せる

生成AIに会社名を聞くと、たいてい何かしら答えます。その答えは、ウェブのあちこちに散った情報をつなぎ合わせたものです。設立年が古い求人サイトから拾われていたり、事業内容が数年前のままだったりします。

llms.txt は、その散らばりに対して1枚の正解を置く行為です。読まれる保証はありませんが、読まれたときに間違えようがない状態にしておく。コストが低いので、保証がなくてもやる価値がある、という判断です。

2. 書く作業そのものが、自社の表記を揃える機会になる

これは副産物のほうが大きいかもしれません。llms.txt を書くと、会社案内のページ・関連サイト・SNSのプロフィールで、社名の表記や設立年や事業内容の書き方がバラバラだったことに気づきます。AIは表記が割れている情報を確定できません。揃える作業のきっかけとして、llms.txt は使い勝手がいい。

なぜ表記のばらつきが引用を妨げるのかは、SEOとGEOの違い — 2026年、何から始めるべきかに書きました。

私たちが実際に書いた6つのかたまり

自社の llms.txt は、次の順で並んでいます。

見出し中身なぜ入れたか
会社名と一行説明何をしている会社か最初の数行しか読まれない場合に備える
会社の定義商号・代表者・設立・所在地・事業内容事実として確定させたい項目
特徴他社と何が違うか「どんな会社か」と聞かれたときの答え
関連エンティティ代表の個人サイト、関連会社別サイトの情報と結びつけてもらうため
主要ページ事業内容・会社案内・実践事例・問い合わせどこに何があるかの地図
実践事例公開済み記事の題名と説明の一覧中身のある記事へ誘導するため

書き方の決まりはほとんどありません。見出しと箇条書きで、飾らずに書く。日本語のままで問題ありません。凝った書式にする必要もない、というのが実際に書いてみた感想です。

順番には意味を持たせました。上から順に、確定した事実 → 主観 → 案内です。会社名や設立年のように「間違われると困る事実」を先に置き、「私たちはこう考えている」という特徴は後ろに回しています。

書かなかったこと

書く内容より、書かなかったことのほうが判断が要りました。

  • 売り込みの文章 — 「業界No.1」のような表現は入れていません。読むのがAIでも人でも、根拠のない主張は信用を落とすだけです。llms.txt は広告枠ではなく、会社の定義を置く場所だと考えています
  • すぐ古くなる情報 — キャンペーンや期間限定の案内は入れません。更新が止まったとき、間違いだけがそこに残ります
  • 見られたくないページへの案内 — 私たちは無料レポートのPDFそのものを検索結果に出さない設定にしています。llms.txt にPDFへの直リンクを書くと、その設定と矛盾します
  • 他のページと食い違う数字 — ここが一番怖いところです。会社案内のページに書いた数字と llms.txt の数字が違えば、AIはどちらも確信を持って使えなくなります

最後の点はもう少し強く書きます。llms.txt でやってはいけない失敗は、他のページとの食い違いです。 情報が無いことより、二つの違うことが書いてあるほうが害が大きい。

手で書くと、半年で嘘になる

私たちが実装で一番こだわったのはここです。llms.txt を手書きのファイルとして置いていません。

理由は単純で、手で書いたファイルは更新されないからです。記事を1本増やすたびに llms.txt を開いて追記する運用は、忙しくなった週に必ず飛びます。飛んだことにも気づきません。誰も見ないファイルだからです。

そこで私たちは、llms.txt をサイトを組み立てるときに自動で作られる形にしました。中身は次のように決まります。

  • 会社名・設立・所在地・事業内容は、会社案内のページと同じ1か所の設定から読み込む
  • 実践事例の一覧は、公開済みの記事から自動で作る(下書きは入らない)
  • 最終更新日は、作られた日付が自動で入る

結果として、会社案内を直せば llms.txt も直り、記事を1本公開すれば llms.txt にも1行増えます。人が llms.txt を触る必要が、原理的にありません。 前の節で「一番怖いのは他ページとの食い違い」と書きましたが、同じ場所から作っている限り、食い違いようがない形になります。

サイト自体をこういう「更新が止まらない形」に作り直した経緯は、なぜ自社サイトをAIで作り直したのかに書きました。

置いてどうなったか — まだ判断できません

正直に書きます。llms.txt を置いた効果は、まだ測れていません。

言えることは限られています。サイトを公開して2週間のあいだに、ChatGPT のページ(chatgpt.com)から当社サイトへの訪問が1件だけ記録されました。ただし、これが llms.txt のおかげかどうかは分かりません。1件では、たまたまと区別がつかないからです。

私たちは毎月、生成AIに決まった質問を投げて、自社が答えに引用されるかを記録しています。その計測でも、いまのところ次の傾向が出ています。

  • 会社名や人名で聞いた場合は引用される
  • 「AIマーケティング 会社」のようにサービスを探す言い方では引用されない

ただしこの記録の対象は代表の個人サイトと関連会社のサイトで、ai-marketing.co.jp はまだ計測対象に入っていません。また1回目の記録なので、増えたのか減ったのかも言えません。ここを「llms.txt の効果」として語るのは、まだ無理があります。

判断できるようになるのは、同じ質問を何か月か投げ続けて、置く前と置いた後を比べられるようになってからです。それまでは「効果があった」とは書きません。

30分でやる手順

最後に、明日できる形にまとめます。

  1. 会社の事実を1枚に書き出す — 商号・代表者・設立・所在地・事業内容。ここで表記のばらつきが見つかります
  2. 他の場所と突き合わせる — 会社案内のページ、関連サイト、SNSのプロフィール。違っていたら、どれが正しいかを決めて全部そろえる
  3. 主要ページの案内を足す — ページの題名と、一行の説明。5つも書けば十分です
  4. 売り込みと期限つきの情報を消す — 残すのは、来年読んでも正しいことだけ
  5. サイトの一番上の階層に llms.txt として置く — 手で置くなら、更新する日をカレンダーに入れておく。自動で作れるなら、そちらのほうが確実です

1と2に時間の大半がかかります。そしてこの2つは、llms.txt を置かない会社にとっても効く作業です。

まとめ

  • llms.txt は、AIに読ませるための会社の説明書き。公式に決まった規格ではなく、有志から提案された書き方
  • 置けば引用されるファイルではない。読まれたときに間違えようがない状態を作るためのもの
  • 中身は「確定した事実 → 特徴 → ページの案内」の順。売り込みと期限つきの情報は入れない
  • 最大の失敗は、他のページと食い違うこと。 情報が足りないことより害が大きい
  • 手書きだと更新が止まる。会社案内と同じ場所から自動で作る形にすると、食い違いが起きない
  • 効果は現時点では判断できない。私たちも、比べられるようになるまで「効果があった」とは書きません

GEO(生成AIの回答に引用されるための対策)全体の優先順位は、SEOとGEOの違い — 2026年、何から始めるべきかに整理しました。この記事の作業は、そこでいう最初の技術的な手当てにあたります。llms.txt を含めたサイト全体をAIエージェントで動かしている構成は、マーケティングを4工程に分け、AIエージェントを配置するで公開しています。

自社の llms.txt に何を書くべきかを決める前に、そもそも社内のどの情報が揃っていないかを洗い出す必要があります。その洗い出しに使える自己診断シートを、無料レポート『AIエージェント導入の実際』(A4・全11ページ)に付けました。当社で稼働している28体のAIエージェントの全内訳と、人が確認している箇所も載せています。/report/ から請求できます。


本記事の内容は2026年8月時点のものです。

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