Google広告で「どこに出すか」の優先順位を付けられるようになりました — P-MAXを任せている会社が、先に決めること
2026年10月14日、Google広告がチャネルの優先度と予算の上限を設定できる機能を発表しました。AIに任せていた配信先の配分に、発注側が口を出せる場所ができます。確認できたこと、効かない場面、決めておくべきことを整理します。
2026年10月14日、Google広告がチャネルの優先度と予算配分という設定を発表しました。広告を「どこに出すか」に、発注側が優先順位を付けられるようになります。
一次情報はこちらです。
- Google公式ブログ: New Google Ads channel prioritization and budget controls
- Google広告ヘルプ: About channel prioritization and budget allocation
この記事の結論を先に書きます。 これまでP-MAXなどでは、予算をどの配信先に回すかをほぼGoogleのAIが決めていました。 今回、「ここを先に、ここは後回し、後回しの分はここまで」と指示できるようになります。 ただし、何を優先すべきかを決めるのは発注側です。 その答えを持っていない会社にとっては、設定項目が1つ増えるだけで終わります。
先に、言葉を揃えます
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| チャネル | 広告が出る場所の種類のこと。Google検索の結果画面、YouTube、Gmail、提携している他社のサイトなど |
| P-MAX(パフォーマンス最大化) | 1つのキャンペーンで、検索・YouTube・Gmailなど複数の場所にまとめて広告を出し、どこにいくら使うかをGoogleのAIが決める形式 |
| デマンドジェネレーション | YouTubeやDiscover(スマホのGoogleアプリに出るおすすめ記事の欄)など、まだ検索していない人に向けて出す形式 |
| 検索パートナー | Google以外の会社のサイトにある検索窓。Googleと提携していて、そこにも検索広告が出る |
| ディスプレイネットワーク | Googleと提携している多数のサイトやアプリの広告枠。記事の横や下に出る画像広告がこれにあたる |
| 目標コンバージョン単価 | 「申し込み1件あたり、いくらまでなら払う」を決めて、その範囲に収まるようにAIが入札する設定。コンバージョンは、広告の先で起きてほしい行動(資料請求、購入など)のこと |
| 目標広告費用対効果 | 「広告費に対して、売上をどれだけ返してほしいか」を決めて、それを目指してAIが入札する設定 |
発表で確認できたこと
公式ブログとヘルプページで確認できた範囲だけを書きます。
優先度は「高」と「低」の2段階
- チャネルごとに、優先度を**「高」か「低」**に設定できる
- 初期値はすべて「高」。 つまり、何もしなければ今までと変わらない
- 設定の単位は、アカウント全体・複数のキャンペーンで共有している予算・キャンペーンごと、のいずれか
- 予算はまず「高」のチャネルに使われ、残った分が「低」に回る
「低」には上限を置ける
- 「低」にしたチャネルには、1日の予算のうち何割まで使ってよいかという上限を置ける
- 上限は、実際に使った金額ではなく、キャンペーンの平均の1日の予算に対する割合で決まる
- 毎日リセットされる
- これは努力目標で、上限を超えて使われる日もある、とヘルプに明記されている
対象になる広告の形式
| 形式 | 優先度を付けられるチャネル |
|---|---|
| 検索 | Google検索、検索パートナー、ディスプレイネットワーク |
| ショッピング | Google検索、検索パートナー |
| P-MAX | 「Googleのチャネル」、検索パートナー、ディスプレイネットワーク |
| デマンドジェネレーション | 優先度は付けられる。ただしヘルプでは上限の設定には未対応と書かれている |
P-MAXとデマンドジェネレーションでは、Google検索・YouTube・マップ・Gmail・Discoverが**「Googleのチャネル」として一まとめ**になっています。「YouTubeより検索を優先」のように、この中で順位を付けることはできません。
なお、デマンドジェネレーションの扱いは、公式ブログとヘルプページで書き方が揃っていません。使う前に、その時点のヘルプを確認してください。
効かない場面と、まだできないこと
- 目標コンバージョン単価・目標広告費用対効果で、予算が足りているキャンペーンでは、優先度はほとんど効かない。 予算に余裕があるとき、AIはすべてのチャネルで目標を満たそうとするため、配分はあまり変わらない、とヘルプに書かれています
- キャンペーンの期間全体で総予算を決める設定を使っているキャンペーンには適用されない
- 複数のアカウントをまとめて管理する画面(代理店がよく使う管理用アカウント)からは設定できない。アカウントごと、キャンペーンごとに設定する
- 外部のプログラムから広告を操作する仕組み(API)や、パソコンにインストールして使う管理ツール(Google Ads Editor)への対応は「近日」とされている
- 提供は順次。自社のアカウントでいつ使えるようになるかは、管理画面で確かめるしかない
2027年2月に、自動で切り替わるものがある
検索キャンペーンで「ディスプレイ拡張」(検索広告の予算の一部を、提携サイトの画像広告にも回す設定)を有効にしている場合、2027年2月から自動でこの新しい設定へ移されます。
ヘルプでは、今と同じ状態を保ちたいなら、ディスプレイネットワークを「低」にして上限を50%にするよう勧めています。ディスプレイ拡張を使っているかどうかは、今のうちに確認しておくべきです。
確認できていないこと
- 日本のアカウントでいつから使えるか。 発表は「順次」としか書いていません
- 優先度を変えると、成果がどう変わるか。 公平に比べた実測は、公開されたものが見当たりません。私たちもこの設定を試しておらず、語れる数字を持っていません
- 上限がどの程度守られるか。 努力目標とされている以上、実際の超え方はアカウントごとに見るしかありません
で、自社のマーケティングにどう効くのか
1. 「AIに任せる範囲」に、はじめて境界線を引ける
P-MAXは、どこに出すかをAIが決めるのが売りでした。その分、発注側は「なぜ提携サイトにこんなに使われているのか」と思っても、止める手段がほとんどありませんでした。
今回の設定は、AIの判断を止めるものではなく、AIに渡す前提条件を発注側が置けるようにするものです。私たちは、AIに仕事を任せるときにいちばん大事なのは、この「前提条件を誰が決めるか」だと考えています。P-MAXで発注側が毎週見るべきことはGoogle P-MAX をAIに任せるとき、発注側が毎週見るべき3つのことに書きました。今回の設定は、そこで見えた違和感を設定に反映できる場所ができた、という意味を持ちます。
2. ただし、優先順位の答えは自社の数字の中にしかない
「検索を高、ディスプレイを低」は、多くの会社で直感的に正しそうに見えます。しかし、それが本当に正しいかは、チャネルごとに、申し込みのその先(商談、受注、継続)まで追えているかで決まります。
管理画面に出る申し込みの数だけで判断すると、安く数が取れるチャネルを「高」にしがちです。法人向けの商材では、数は取れても商談にならない申し込みが混ざることがあります。優先度を触る前に、チャネル別に「その後どうなったか」を一度だけでも見ることを勧めます。
3. 予算に余裕があるキャンペーンでは、触っても変わらない
目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果で運用していて、予算を使い切っていないキャンペーンでは、この設定はほとんど効きません。「設定したのに変わらない」と感じたら、まずここを疑ってください。
逆に言えば、効くのは予算が足りず、毎日使い切っているキャンペーンです。どのキャンペーンがそれにあたるかを把握しておくと、どこから試すべきかが決まります。
4. 代理店に任せている会社は、「誰が決めたか」を残してもらう
代理店がよく使う管理用アカウントからは設定できないため、設定はアカウントごとの作業になります。そのぶん、知らないうちに変わっていた、ということも起こりえます。
代理店に運用を任せているなら、どのチャネルを「低」にしたか、上限を何割にしたか、それはなぜかを報告に入れてもらうよう、今のうちに頼んでおくのが安全です。動的検索広告が自動でAI Maxに移る話(Google広告の「動的検索広告」が終わります)と同じで、自動で切り替わる設定ほど、誰が何を決めたかが見えにくくなります。
今日やっておけること
- ディスプレイ拡張を使っている検索キャンペーンがあるか確認する。 あれば、2027年2月の自動移行の対象になる
- 予算を毎日使い切っているキャンペーンを書き出す。 優先度が効くのはそこ
- チャネル別に、申し込みの「その後」を一度見る。 商談や受注まで追えないなら、追える形にするのが先
- 代理店に、この設定を触ったら報告するよう頼む。 何を「低」にしたか、上限はいくつか、その理由
まとめ
- 2026年10月14日、Google広告がチャネルの優先度(「高」と「低」)と、「低」のチャネルへの予算の上限を設定できる機能を発表した。提供は順次
- 対象は検索・ショッピング・P-MAX・デマンドジェネレーション。P-MAXでは検索・YouTube・Gmailなどは「Googleのチャネル」として一まとめで、中の順位は付けられない
- 上限は努力目標。予算に余裕のある目標値つきのキャンペーンでは、優先度はほとんど効かない
- 2027年2月から、ディスプレイ拡張を使う検索キャンペーンは自動でこの設定に移る
- 何を優先すべきかの答えは、チャネル別に申し込みの「その後」を追った自社の数字の中にある
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本記事の内容は2026年10月時点のものです。
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