FUNNEL 2026.10.03

Google P-MAX をAIに任せるとき、発注側が毎週見るべき3つのこと — 「何を成果と数えるか」は渡さない

Google広告のP-MAXは、入札も配信先もAIが決めます。任せるほど、発注側が見るべき場所は減るのではなく変わります。代理店に「これを見せてください」と頼める形で、実際の売上・新規客の割合・除外の設定という3つの見方を整理します。

Google P-MAX をAIに任せるとき、発注側が毎週見るべき3つのこと — 「何を成果と数えるか」は渡さない — AIマーケティング株式会社

Google広告の「P-MAX(ピーマックス)」は、正式にはパフォーマンス最大化キャンペーンと呼ばれる広告の出し方です。検索結果、YouTube、Gmail、地図、ほかのサイトの広告枠など、Googleが持っている広告の出し先をまとめて1つの設定で扱い、どこにいくらで出すかをGoogleのAIが決めます。

代理店から「P-MAXに寄せましょう」と提案された方も多いと思います。そのとき発注側が困るのは、任せたあと、何を見て良し悪しを判断すればいいのかが分からないことです。管理画面には数字がたくさん並びますが、どれを見れば「うまくいっているか」が分かるのかは書いていません。

先にお断りしておきます。P-MAXは私たちの主戦場ではありません。 自社の広告はFacebook・Instagramが中心で、P-MAXの運用手順を書ける立場にはありません。この記事に書くのは手順ではなく、発注側が代理店に何を見せてもらえばいいかという判断の基準です。

結論から書きます。毎週見るのは次の3つです。

  1. 実際の売上・商談につながったか(管理画面の「成果」ではなく)
  2. 新しいお客さんが、どれくらい含まれているか
  3. 出してはいけない場所・言葉が、外されているか

そして、この3つの元になる「何を成果と数えるか」「誰を新規と数えるか」「どこに出してはいけないか」は、AIにも代理店にも渡さず、発注側が決めます。

先に、言葉を揃えます

言葉この記事での意味
コンバージョン広告の「成果」として数える行動。購入、資料請求、問い合わせなど、何を数えるかは広告主が決める
自動入札広告を1回出すのにいくらまで払うかを、AIがその都度決める仕組み
指名検索社名や商品名で検索されること。広告がなくても自社にたどり着く人が多い
除外「この言葉で検索した人には出さない」「このサイトには出さない」という指定
アセット広告の材料。見出し、説明文、画像、動画。P-MAXはこれを組み合わせて広告を作る

管理画面の項目名は入れ替わることがあります。ここでは項目名ではなく、何を確かめるかで書きます。代理店には「これに当たるものを見せてください」と頼めば足ります。

なぜ「任せるほど見る場所が変わる」のか

P-MAXは、こちらが決めた「成果」を、決めた予算の中でいちばん多く取れるように動きます。ここが要点です。AIはこちらが成果と呼んだものを、忠実に、全力で取りに行きます。

つまり、成果の定義がずれていれば、AIはずれた方向へ全力で走ります。手で運用していたころは、担当者が「この申し込みは質が悪いな」と気づいて調整できました。P-MAXでは、その調整の多くをAIが握っています。人が介入できる場所は、主に入り口の定義に移ります。

だから見るべきは、AIの細かい動きではありません。AIに渡した定義が正しいか、そしてAIがその定義どおりに動いた結果が、自社の売上と合っているかです。

1つ目:実際の売上・商談につながったか

管理画面の「コンバージョン」は、あくまで広告主がそう数えると決めた行動の数です。売上そのものではありません。

ここで起きやすいずれは、次のようなものです。

成果として数えているもの起きやすいこと
資料請求・問い合わせ申し込みは増えたが、営業が追っても話が進まない相手が多い
カートに入れた・会員登録数は増えるが、購入まで進んだかは別
ページを一定以上見たAIが「読むだけの人」を集めるのが上手くなる

B2Bでいちばん漏れやすいのは、1行目です。問い合わせの数は増えたのに、商談にならない。AIから見れば「成果が増えた」ので、うまくいっていることになります。

代理店に頼むこと:

  • 管理画面のコンバージョンの数と並べて、**自社の顧客管理の記録(商談になった・受注した)**を突き合わせた表を見せてもらう
  • 商談・受注の情報を広告側に戻す設定(オフラインの成果の取り込み)ができているか、できていないなら理由を聞く
  • 「何をコンバージョンとして数えているか」を、設定画面のまま見せてもらう。言葉での説明ではなく画面で

突き合わせには時間がかかります。B2Bでは、申し込みから商談・受注まで間が空くのが普通です。今週の申し込みが良かったかは、今週には分かりません。 判断を急がず、遅れて届く結果で答え合わせをする前提で見ます。

2つ目:新しいお客さんが、どれくらい含まれているか

P-MAXには、もともと自社を知っていて、広告がなくても買ってくれた人にも広告を出してしまう傾向があります。社名で検索した人、すでに購入したことがある人、サイトを何度も訪れている人。こうした人はもともと成果になりやすいので、成果を最大化しようとするAIから見ると「取りやすい相手」です。

その結果、成果の数は良く見えるのに、事業としては何も増えていないことが起こりえます。広告がなくても来た人に、広告費を払っているからです。

代理店に頼むこと:

  • 成果のうち、新規のお客さんと既存のお客さんがどう分かれているかを見せてもらう。分けて見られないなら、その理由も
  • 社名・商品名での検索(指名検索)にP-MAXが出ているかどうか、出ているならそれを外す設定(ブランドの除外)をどうしているか
  • 新規のお客さんを優先する設定を使っているか。使っていないなら、使わない判断の理由

ここで発注側が決めておくことがあります。「新規」を何で判定するかです。過去に一度でも買った人を既存とするのか、一定期間買っていない人は新規に戻すのか。この定義は事業によって違い、AIは決めてくれません。決めないまま任せると、AIは判定のしやすいほうで数えます。

3つ目:出してはいけない場所・言葉が、外されているか

P-MAXは出し先が広いぶん、こちらが想定していない場所に出ることがあります。広告が出る相手やサイトの範囲を、細かく指定する道がもともと狭い仕組みだからです。

外しておくべきものは、おおむね3種類です。

種類例
検索の言葉「無料」「求人」「やり方」など、買う気のない検索。B2Bでは特に多い
出し先のサイト・アプリ自社のブランドと並ぶと困る内容のサイト、子ども向けのアプリなど
着地ページAIが勝手に選んだページに飛ばす機能がある。採用ページやサポートページに広告から人が来ても意味がない

3行目は見落とされがちです。P-MAXには、広告をクリックした人をどのページに着地させるかを、AIが選べる設定があります。便利ですが、AIは「その検索に近いページ」を選ぶのであって、「売りたいページ」を選ぶとは限りません。

代理店に頼むこと:

  • 除外している言葉・サイト・ページの一覧そのものを見せてもらう。「設定しています」という返事ではなく一覧で
  • 実際にどんな検索語句で広告が出たか、出し先ごとにどう分かれたかを、見られる範囲で見せてもらう
  • 一覧をいつ見直したか。最後に見直した日が分からないなら、見直す頻度を決める

この3つ目は、AIの判断が上手いかどうかとは関係がありません。AIには「出してはいけない」の線が分からないので、人が引くしかない部分です。

任せる場所と、渡さない場所

ここまでを1枚にまとめます。

任せてよいもの渡さないもの
どの出し先にいくら配るか何を成果と数えるか
1回ごとにいくら払うか誰を新規と数えるか
見出し・画像の組み合わせの試し方どこに出してはいけないか、どこに飛ばしてはいけないか
時間帯や曜日での細かい調整広告の材料そのもの(言ってはいけないことが入っていないか)

線を引いている基準は、Meta広告の「おまかせ設定」で書いたものと同じです。間違えたときに、こちらがそれに気づけるか。 配分や入札が外れれば、成果の数字に出るので気づけます。成果の定義や除外が外れていると、数字はむしろ良く見えるので、気づけません。気づけない場所は渡しません。

毎週の報告で、何を聞けばいいか

代理店との週次の打ち合わせで、そのまま使える形にしておきます。

  • 今週の成果のうち、自社の記録で商談・受注に進んだものはどれか(過去の週の答え合わせも含めて)
  • 成果のうち、新規のお客さんはどれくらいだったか。指名検索からの成果はどれくらい混ざっているか
  • 今週、新しく外した言葉・サイト・ページはあるか。無ければ、無かった理由
  • AIが選んだ着地ページに、想定外のページが入っていないか
  • 来週、こちらに判断を求めたいことはあるか

逆に、毎週聞いても判断が変わりにくいのは、表示された回数やクリックされた回数の増減です。P-MAXでは出し先の配分をAIが日々変えるので、こうした数字は動いて当然です。動いたことより、上の5つに答えが返ってくるかのほうが、代理店の仕事ぶりを表します。

まだ言えないこと

  • P-MAXが自社の業種で、手で運用する検索広告より良いかどうか。これは業種と予算で変わり、私たちは比べた記録を持っていません
  • Googleが成果の内訳をどこまで見せるかは、ここ数年で少しずつ広がってきました。今後も変わる前提で、見えない部分は代理店に「見えない」と言ってもらうほうが安全です

検索広告側の自動化の流れについては、Google広告の「動的検索広告」が終わりますにも書きました。P-MAXに限らず、Googleの広告は「任せる」が初期設定になりつつあります。

まとめ

  • P-MAXは、こちらが決めた「成果」を全力で取りに行く。定義がずれていれば、ずれた方向へ全力で走る
  • 毎週見るのは3つ。実際の商談・受注につながったか/新規のお客さんが含まれているか/出してはいけない場所が外されているか
  • 管理画面の成果の数は、売上ではない。自社の顧客管理の記録と突き合わせた表を見せてもらう
  • 指名検索や既存客で成果が膨らむと、数字は良いのに事業は増えていない状態になる
  • 除外は「設定しています」ではなく一覧で見せてもらう。着地ページの自動選択も確認する
  • 配分と入札は任せてよい。成果の定義・新規の定義・出してはいけない線は、発注側が持つ

代理店に何を任せ、何を自社に残すかの考え方は、AIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかとAIマーケティング会社の選び方にまとめています。

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本記事の内容は2026年9月時点のものです。

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