AGENT 2026.10.05

Zapier・Make・n8nの違い — マーケティングの自動化は「誰が直すか」で選ぶ

Zapier・Make・n8nのどれでマーケティングの自動化を組むか。機能や料金の表ではなく、誰が保守するか、止まったとき誰が気づくか、顧客データを外に出してよいかの3つで比べます。自社が自前のコードで組んでいる理由も正直に書きます。

Zapier・Make・n8nの違い — マーケティングの自動化は「誰が直すか」で選ぶ — AIマーケティング株式会社

問い合わせフォームに入力があったら、顧客管理の表に1行足して、担当者のチャットに知らせる。広告の数字を毎朝集めて、表にまとめておく。こうした「アプリとアプリの間をつなぐ作業」を自動にする道具として、よく名前が挙がるのがZapier(ザピアー)、Make(メイク)、n8n(エヌエイトエヌ)の3つです。

調べ始めると、機能の比較表や料金表がたくさん見つかります。ただ、私たちの経験では、どれを選んでも「つなぐ」こと自体はたいていできます。 差が出るのは、組んだあとです。誰が直すのか、止まったときに誰が気づくのか、顧客の情報がどこを通るのか。

先にお断りしておきます。私たちは自社の自動化を、この3つのどれでもなく、自前のプログラムで組んでいます。 ですから、この記事に各道具の設定手順は書きません。料金の比較もしません。改定が早く、書いた時点で古くなるからです。書くのは、発注や導入の前に、自社に合うものを自分で選ぶための軸です。

結論から書きます。

  1. 3つの差は「できること」より、組んだあと誰が面倒を見られるかに出ます
  2. 比べる軸は、誰が保守するか/止まったとき誰が気づくか/データを外に出してよいかの3つです
  3. 迷ったら、社内で直せる人がいちばん読める道具を選ぶのが、長い目で見て安くつきます

先に、言葉を揃えます

言葉この記事での意味
自動化(ワークフロー)「Aが起きたらBをする」という手順を、人の手を介さずに動かすこと
きっかけ(トリガー)自動化が動き出す合図。「フォームに入力があった」「毎朝9時になった」など
APIアプリ同士が決まった形でデータをやりとりするための窓口。人が画面で操作する代わりに、プログラムが直接読み書きする入口のこと
保守組んだ自動化が動き続けるように面倒を見ること。つなぎ先のアプリの仕様が変わったときの修正も含む
自社サーバーで動かす(セルフホスト)道具の会社のサービス上ではなく、自社で用意したコンピューターの上で道具を動かすこと

3つの道具の、性格の違い

細かな機能は毎月のように増えるので、ここでは設計の考え方の違いだけを書きます。

ZapierMaken8n
組み方上から下へ、手順を順に並べる画面上に部品を置き、線でつなぐ画面上に部品を置き、線でつなぐ。途中にプログラムを書き足しやすい
向いている形一本道の単純な手順分岐や繰り返しのある手順分岐が多く、細かい加工が要る手順
どこで動くかZapierのサービス上Makeのサービス上n8nのサービス上、または自社サーバー
触る人に求めるものいちばん少ない中くらい。データの形を少し意識するいちばん多い。プログラムを読めると楽

この表から分かるとおり、3つは**「誰でも組める」と「細かく作り込める」の間のどこに立つか**が違います。どちらが上ということではありません。

判断の軸は3つ

1. 誰が保守するか

自動化は、組んだ日がいちばん正しく動く日です。そこから先は、つなぎ先のアプリの画面や窓口(API)が変わる、担当者が変わる、業務の手順が変わる、といった理由で少しずつずれていきます。

ですから最初に決めるべきは、それを直すのは誰かです。

  • マーケティング担当が自分で直すなら、その人が画面を見て意味が分かる道具を選ぶ
  • 社内に開発の分かる人がいるなら、細かく作り込める道具でも保守できる
  • 外部の会社に組んでもらうなら、その会社がいなくなっても社内で読めるかを確かめる

よくあるのは、外部の詳しい人が複雑なものを組み、その人が離れたあと誰も中身を読めなくなる形です。動いているうちは問題になりませんが、止まった瞬間に「触れない箱」になります。組んだ人ではなく、直す人の目線で選ぶのが、この軸の要点です。

2. 止まったとき誰が気づくか

自動化のいちばん怖い壊れ方は、エラーで止まることではなく、黙って止まることです。問い合わせの通知が来ない日が続いても、「今週は問い合わせが少ないな」と思うだけで、実は通知の仕組みが止まっていた、ということは起こり得ます。

どの道具にも、失敗したときに知らせる機能はあります。確かめるべきは機能の有無ではなく、次の点です。

  • 失敗の知らせが、ふだん見ている場所(チャットやメール)に届くか
  • 知らせを受けた人が、何が起きたかを読めるか
  • 「動いたが、中身が空だった」のような失敗に見えない失敗を、どう拾うか

最後の点は、道具を選んでも解決しません。私たちは「毎日決まった件数が流れているはずの自動化で、流れた件数がゼロなら知らせる」というように、結果の側を見張る仕組みを別に置いています。エージェント運用で実際に踏んだつまずきは、AIエージェント運用でつまずいた7つの場所にまとめています。

3. データを外に出してよいか

Zapierや Makeは、それぞれの会社のサービス上で動きます。つまり、自動化に流した顧客の名前やメールアドレスは、その会社のサービスを通ります。 n8nは自社サーバーで動かす選択肢があるので、データを社内に留めたまま組むこともできます。

これが問題になるかどうかは、会社ごとに違います。

  • 社内の規程や取引先との契約で、顧客情報を預けてよい先が決まっているか
  • 流すデータに、個人情報や取引条件のような重い情報が含まれるか
  • 自社サーバーで動かす場合、その機械の面倒(更新・監視・バックアップ)を見る人がいるか

3つ目を忘れないでください。自社サーバーで動かせば、データの置き場所は自分で決められます。そのかわり、道具の会社が肩代わりしていた機械の保守がまるごと自社に移ります。 1つ目の軸とつながる話です。

選び方の目安

3つの軸をまとめると、次のような目安になります。あくまで出発点として使ってください。

自社の状況合いやすい選択
マーケティング担当が自分で組み、自分で直す。手順は単純Zapierから始める
分岐や繰り返しがある。担当者がデータの形を少し意識できるMakeを検討する
社内に開発の分かる人がいる。顧客データを外に出したくないn8nを自社サーバーで動かすことを検討する
直せる人が社内にいない道具を選ぶ前に、保守の担当を決めるのが先

最後の行がいちばん大事です。直せる人がいないまま道具を選ぶと、どれを選んでも「触れない箱」になります。

なぜ私たちは自前のプログラムで組んでいるのか

正直に書きます。私たちがこの3つを使わず、自前のプログラムで自動化を組んでいるのは、3つの道具が劣っているからではありません。 理由は2つです。

  • 戻せる。 プログラムは変更の履歴を残せるので、直した結果がおかしければ、前の状態に戻せます。画面で組む道具にも履歴の機能はありますが、私たちにとってはこちらのほうが扱い慣れていました
  • 読める。 自動化の中身が文章のように読めるので、AIに「この手順は何をしているか」を説明させたり、直させたりしやすい。いまはAI自身が自動化を組み、直す場面が増えているので、この点の重みが増しています

裏返すと、これは社内にプログラムを読める人とAIを使いこなす人がいるから選べる道です。そうでない会社が同じことをすると、1つ目の軸で書いた「触れない箱」を自分で作ることになります。私たちのやり方を勧めるつもりはありません。どう組んでいるかはマーケティングを4工程に分け、AIエージェントを配置するに書いています。

外部に組んでもらうときに聞いておくこと

自動化を外部の会社に頼む場合は、契約の前に次を確かめておくと安全です。

  • どの道具で組むか。その道具のアカウントは誰の名義になるか(自社名義でないと、契約が終わったとき手元に残らない)
  • 止まったとき、誰に、どの経路で知らせが届くか
  • 顧客の情報がどのサービスを通るか
  • 契約が終わったあと、社内の人が読んで直せる形で渡してもらえるか

こうした質問にはっきり答えられない相手なら、慎重に考えてよいと思います。相談先の選び方はAIエージェント導入を頼める会社の見分け方にもまとめています。

まだ言えないこと

  • 3つのうちどれが最も優れているか。私たちはどれも自社で本格運用していないので、比べる立場にありません
  • 料金がどれがいちばん安いか。数え方がそれぞれ違い、改定も早いので、使う量を決めてから各社の最新の料金表で確かめてください

まとめ

  • Zapier・Make・n8nは、どれでも「つなぐ」ことはたいていできる。差は組んだあとに出る
  • 比べる軸は3つ。誰が保守するか/止まったとき誰が気づくか/データを外に出してよいか
  • いちばん怖いのは黙って止まること。失敗の知らせに加えて、結果の側を見張る仕組みを置く
  • 自社サーバーで動かせばデータは社内に留められるが、機械の保守も自社に移る
  • 直せる人が社内にいないなら、道具より先に保守の担当を決める
  • 外部に頼むなら、アカウントの名義と、契約後に読める形で渡してもらえるかを確かめる

AIに任せる仕事と自社に残す仕事の線の引き方は、AIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかに書いています。

自動化の道具を選ぶ前に、自社のどこにAIを入れる余地があるかを確かめたい方のために、無料レポート『AIエージェント導入の実際』(自己診断シート付き)を用意しています。/report/ から請求できます。


本記事の内容は2026年9月時点のものです。

この記録の仕組みを、御社のマーケティングに実装することもできます。 30分の個別相談で、自動化できる領域を診断します。初回セッションは有料です。

個別相談を申し込む