Claude 規約違反と株 — 自分の投資の調べものに使うのは禁止されていない。線は「他人に勧める仕組み」と「相場を動かす発信」にある
Claudeで株を調べたり決算を読ませたりするのは、規約違反になるのか。利用ポリシーで禁止されているのは別のところです。他人への投資の推奨を出す仕組みと、偽のアカウントで相場を動かすような発信。その線の位置と、金融商材を扱う会社が確かめることを整理します。
Claudeで株を調べること、決算資料を要約させること、自分の投資判断の材料を整理させることは、Anthropicの利用ポリシー(使ってよいこと・いけないことを定めた規約)で禁止されている用途としては書かれていません。
規約が気にしているのは、その先です。他人に向けて投資の推奨を出す仕組みを作るときと、偽のアカウントや投稿で、特定の銘柄の話題を広めるとき。この2つに近づいたら、規約と法律の両方を確かめる必要があります。
※この記事は、2026年10月時点で公式の発表ページから確認できた内容をもとにしています。私たちは法律や金融の専門家ではありません。個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家に確認してください。
先に、言葉を揃えます
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| 利用ポリシー | AIの提供元が「このAIをこういうことに使ってはいけない」と定めた規約。違反すると利用を止められることがある |
| 高リスクの用途 | 健康・法的な権利・お金・生計・生活に欠かせないサービスなど、人の暮らしに大きく影響する場面でAIを使うこと |
| human in the loop | AIの出した提案を、資格のある人が確認し、必要なら変えられる状態にしておくこと |
| 増幅 | 同じ内容を多くのアカウントや投稿で繰り返し、実際より広く支持されているように見せること |
| 投資助言 | お金をもらって、特定の株などの売り買いについて他人に助言すること。日本では登録が必要な業務 |
一次情報はこちらです。
- Anthropic公式: 2026 Usage Policy update
改定の全体像はClaudeの利用規約が11月12日に変わりますにまとめました。この記事では、株とお金に関わる部分だけを扱います。
株の調べものにClaudeを使うのは、規約違反になるのか
自分のための調べもの・整理は、禁止の対象として書かれていない
次のような使い方は、利用ポリシーの禁止事項として名指しされていません。
- 決算資料や有価証券報告書を要約させる
- 業界の構造や、会社の事業の仕組みを説明させる
- 自分が考えた投資の理由を書き出し、抜けている観点を挙げさせる
- 用語や指標の意味を教えてもらう
規約が「高リスク」として扱うのは、AIの出力が、他の人のお金や暮らしに影響する場面です。自分で読んで、自分で決める使い方は、その枠の外にあると読むのが自然です。
ただし「Claudeが言ったから買う」は、規約とは別の問題
規約に触れないことと、判断を任せてよいことは別の話です。AIは、もっともらしい数字や事実を間違えて出すことがあります。株価、業績、発表の日付など、売り買いの判断に使う数字は、会社の開示資料など元の情報で確かめてから使ってください。
AIに任せてよい仕事の線の引き方は、AIに任せてよい仕事と、任せてはいけない仕事に書きました。「間違いに気づけるか」「取り消せるか」で考えると、売り買いの最終判断は人の側に残すべき仕事です。
違反になりうるのは、どこからか
線は2か所にあります。
1. 他人に向けて、投資の推奨を出す仕組みを作るとき
利用ポリシーでは、お金に影響する製品でClaudeを使う場合、次の2つが求められています。今回の改定でも、この要件は変わっていないと公式は書いています。
- 資格のある人が、Claudeの提案を確認して変えられる権限を持っていること
- 影響を受ける本人に、AIを使ったことを伝えること
たとえば「銘柄を入力すると、買うべきかどうかをAIが答えるサービス」を一般の利用者に向けて作るなら、この要件に当たる可能性が高いと考えます。今回の改定では、どんな種類の推奨が対象になり、どれがならないのかを規約の中で明記したとされています。作る前に、規約の本文で自社の使い方がどちらに入るかを確かめてください。
日本ではこれとは別に、お金をもらって他人に投資の助言をする仕事には、金融商品取引法に基づく登録が要ります。AIを使っていても、使っていなくても同じです。規約を満たしても、法律の側を満たしたことにはなりません。
2. 偽のアカウントや投稿で、銘柄の話題を広めるとき
改定で新しくできた「欺く宣伝や人工的な活動をしない」という節では、次のことが禁止として書かれています。そして、政治だけでなく商業目的の活動も対象だと明記されました。
- メッセージの発信者を隠すこと
- 偽のアカウントや投稿で、内容を増幅すること
- 世論を意図的に動かすための道具や仕組みを作ること
発表ページに「株」や「相場」という言葉は出てきません。ただ、AIで大量のアカウントから特定の銘柄を褒める投稿を流す、といった運用は、この節にそのまま当てはまりうると私たちは読んでいます。
日本では、相場を動かす目的で根拠のない情報を広めること(風説の流布)は、金融商品取引法で禁止されています。こちらも、AIを使ったかどうかは関係ありません。
整理すると
| 使い方 | 規約上の位置 | 確かめること |
|---|---|---|
| 自分の投資のために資料を読ませる・整理させる | 禁止事項として書かれていない | 数字は元の資料で確かめる |
| 社内の調べもの(競合の決算を読むなど) | 禁止事項として書かれていない | 社外秘の情報をどこまで入力してよいか、社内の決まり |
| 一般の利用者に投資の推奨を出すサービス | 高リスクの用途に当たりうる | 人の確認、AIを使ったことの告知、投資助言の登録 |
| 発信者を隠した投稿や、多数のアカウントでの拡散 | 新しい節の禁止事項に当たりうる | そもそも法律上も問題がないか |
金融商材を扱う会社のマーケティング担当が、確かめること
この検索語で来る方の中には、個人の投資家だけでなく、証券・保険・投資の情報サービスなどを扱う会社の方もいると思います。広告や記事を作る側として、確かめておきたいのは次の3つです。
- AIが出しているのは「文面」か「個人への推奨」か。 広告文や記事の下書きを作るのと、顧客ひとりひとりに「この商品が合っています」と返すのとでは、規約上の位置が違うと考えられます。後者に近いなら、規約の本文と社内の法務に確認する
- 自社の名前で出しているか。 口コミ風の投稿、担当者の個人アカウントでの宣伝、運用元を隠した複数のアカウント。どれも、AIで量産しやすいぶん線に近づきやすい運用です
- 外注先が何をしているか。 SNS運用や記事の制作を外に任せているなら、依頼先がAIで何を作り、誰の名前で出しているかを一度聞いておく。何を外に任せ、何を手元に残すかの考え方はAIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかに書きました
私たちは金融商品を扱っていないので、この領域で規約の線を実際に確かめた経験はありません。そのぶん、ここに書いたのは公式の発表から読み取れる範囲に留めています。
私たちの運用で、同じ考え方をしているところ
私たちは自社のマーケティングをAIエージェントで回していますが、外に出るものはすべて自社の名前で出し、出る直前に人が確認しています。理由は、規約に触れないためというより、誰が言っているのかを隠さないことが、読む人との最低限の約束だと考えているからです。
株の話でも同じ考え方が使えます。自分で読んで、自分で決めるためにAIを使うのは道具の使い方の問題です。他人の判断を動かす場面にAIを置くときに、はじめて規約と法律が前に出てきます。
まとめ
- Claudeで株を調べる、決算資料を読ませる、自分の考えを整理させる、といった使い方は、利用ポリシーの禁止事項として書かれていません
- 規約上の線は2か所にあります。他人に投資の推奨を出す仕組み(高リスクの用途)と、発信者を隠した投稿や偽のアカウントでの拡散(新しい節の禁止事項)です
- 高リスクの用途では、資格のある人の確認と、AIを使ったことの告知が求められます。この要件は今回の改定でも変わっていません
- 日本では、投資の助言には登録が要り、相場を動かす目的の根拠のない情報の拡散は禁止されています。規約を満たしても、法律の側は別に確かめる必要があります
- 売り買いの最終判断と、判断に使う数字の確認は、人の側に残してください
あわせて読んでいただきたい記事です。
- Claudeの利用規約が11月12日に変わります — 「偽のアカウントや投稿で広める」は、商売の目的でも禁止と明記された
- AIに任せてよい仕事と、任せてはいけない仕事 — 「判断か作業か」ではなく「取り消せるか」で線を引く
- AIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのか — 線を引く基準は「取り返しがつくか」
AIに何を任せ、どこに人の確認を置くか。私たちが自社で引いている線と、つまずいたところをまとめた無料レポート『AIエージェント導入の実際』をこちらでお配りしています。A4・全11ページ、自己診断シート付きです。自社の運用を見直すときの材料にしてください。
本記事の内容は2026年10月時点のものです。
この記録の仕組みを、御社のマーケティングに実装することもできます。 30分の個別相談で、自動化できる領域を診断します。初回セッションは有料です。
個別相談を申し込むほかの記録と支援の内容は、AIマーケティング株式会社のトップページにまとめています。