NEWS 2026.09.29

Claude Sonnet 5.5 が出ました — 「毎日の仕事を任せる段」が、単価はそのままで一段強くなった

2026年9月28日、AnthropicがClaude Sonnet 5.5を発表しました。単価は前の世代と同じまま、1つの仕事にかかる費用は下がり、速さも上がったとされています。確認できたことと、自社でAIを使い分けるときに見直すべき点を書きます。

Claude Sonnet 5.5 が出ました — 「毎日の仕事を任せる段」が、単価はそのままで一段強くなった — AIマーケティング株式会社

2026年9月28日、AnthropicがClaude Sonnet 5.5を発表しました。出典はこちらです。

結論を先に書きます。今回の発表は、「毎日たくさん回す仕事」を任せる段が強くなった話です。 最上位の性能競争ではなく、会社の中でいちばん量の多い仕事にかかわる変更なので、実務への影響はむしろこちらのほうが大きいかもしれません。

先週、一段上のOpus 5.5が出たばかりです(その記事はこちら)。今回はその「速くて安いほう」にあたります。

先に、言葉を揃えます

初めての方のために、この記事で使う言葉を短く説明します。

言葉この記事での意味
モデルAIの「頭脳」にあたる部分。同じClaudeでも、賢さと値段の違う何種類かが用意されている
Opus / Sonnet / HaikuClaudeの段の名前。Opusが上、Sonnetが真ん中、Haikuがいちばん軽くて安い段(この上に最上位のFableがある)
トークンAIが文章を数える単位。料金は「読ませた量」と「書かせた量」で決まる。ここでは扱った文章の量と思ってください
エージェントAIに「答えを出させる」だけでなく、調べる・ファイルを作る・画面を操作するといった作業の手順そのものを任せる使い方

発表で確認できたこと

公式ページで確認できた内容を並べます。

項目内容
位置づけOpus 5.5を補う「速くて安いほう」。範囲のはっきりした日常業務や、文書・スライド・表計算の仕上げが得意
料金の単価読ませる量は100万トークンあたり2ドル、書かせる量は10ドル。前の世代のSonnet 5と同じ
1つの仕事の費用同じ仕事を終えるのに必要な文章の量が減るため、ほとんどの仕事で最大30%少ない
速さ文章を書き出す速さがSonnet 5より30%以上速い
作業を任せる力エージェント的なプログラミングの試験で70.6%(Sonnet 5は10.3%)
パソコン操作画面を見て操作する試験で80.1%(Sonnet 5は57.0%)
一段上との差幅広い職種の実務を試す試験で、Opus 5.5より少し低い
次の予定いちばん軽いHaiku 5.5は「数週間のうちに」出るとされている
提供先Claude.ai、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureを含む各プラットフォーム

性能の比較は、いずれもAnthropic自身が出したものであって、第三者が検証したものではありません。 そのつもりで読んでください。

何が変わったのか — 単価ではなく「1仕事あたり」が下がった

ここがいちばん誤解されやすいところなので、丁寧に書きます。

今回、料金表の単価は下がっていません。 下がったのは、同じ仕事を終えるまでに使う文章の量です。AIが遠回りをせず、少ない手順で仕事を終えるようになったので、請求額が下がる、という理屈です。

これは、社内で費用を見るときの見方に関わります。

  • 料金表だけを比べると、「何も変わっていない」ように見えます。 単価が同じだからです
  • 実際の請求額は、仕事の中身によって下がり方が違います。 手順の多い仕事ほど、遠回りが減った効果が大きく出るはずです。逆に、短い文章を1回書かせるだけの仕事では、ほとんど差が出ないかもしれません

「最大30%少ない」の「最大」がどの仕事に当てはまるのかは、発表からは読み取れませんでした。自社の請求額がどう動くかは、切り替えてから1か月ほどの実績を見ないと分からない、と考えておくのが安全です。

見落とされがちな変更 — 「画面を触る仕事」が真ん中の段に降りてきた

もう一つ、マーケティングの現場に効くのが、パソコン操作の試験の伸びです。

これまで、AIに画面を見せて操作させる仕事——管理画面から数字を拾う、フォームに入力する、ツールの設定を確認する——は、上の段のモデルでないと安心して任せにくい仕事でした。手順が長く、途中で一度間違えると、その先がすべてずれるからです。

真ん中の段がこの仕事で大きく伸びたのなら、量の多い画面作業を、手ごろな値段で試せるようになったということです。広告の管理画面やMAツール(見込み客へのメール配信などを自動で行う仕組み)のように、毎週同じ画面を開いて同じことを確かめる作業は、その候補になります。

ただし、ここで線を一本引いておきます。画面を「見て確かめる」仕事と、画面で「押して変える」仕事は別物です。 予算の変更、配信の開始、顧客データの削除のように、押したら取り消しにくい操作は、モデルがどれだけ強くなっても人の確認を残すべきです。試験の点数が上がっても、間違えたときの被害の大きさは変わらないからです。

自社の仕事を、どの段に置くか

ここは発表ではなく、私たちの判断基準です。モデルの世代が変わっても使える形で書きます。

真ん中の段(Sonnet)に置いてよい仕事

  • 範囲がはっきりしていて、出来をこちらが判断できる仕事。 広告文の案出し、記事の下書き、資料の体裁の仕上げなど
  • 毎回同じ手順で回す仕事。 週次の数字の取りまとめ、問い合わせの振り分け、定型の返信の下書きなど
  • 量が多く、1件ごとの重みが小さい仕事。 アンケートの自由回答の分類などがこれにあたります

上の段(Opus以上)に残したい仕事

  • 答えが決まっておらず、長く判断を続ける仕事。 施策全体の組み立て、複数の資料を突き合わせた提案書などです。公式も、こうした仕事ではOpus 5.5のほうがはっきり強いとしています
  • 自社の文脈を深く読ませる仕事。 過去の経緯やブランドの言い回しを踏まえる必要がある文章は、真ん中の段で足りるかどうか、自社の実物で試すまで分かりません

線を引く基準を一言にすると、ここでも**「取り返しがつくかどうか」**です。詳しくはこちらの記事に書きました。

2週続けて「下の段が強くなった」ことの意味

先週はOpenAIがGPT-6 SolとLunaを(その記事はこちら)、AnthropicがOpus 5.5を出し、今週はSonnet 5.5です。数週間のうちにHaiku 5.5も出るとされています。

各社とも、最上位だけでなく毎日たくさん使われる段で選ばれることを重視している、と読めます。利用する側としては、次の2つを意識しておくと振り回されずに済みます。

  • モデル名を前提にした運用にしない。 段の中身が数週間単位で入れ替わっています。仕事ごとに「求める水準」を決めておき、それを満たす一番安い段を選ぶ形にしておくほうが長持ちします
  • 切り替えは、同じ仕事を新旧で並べて比べてから。 発表の数字は発表の数字です。自社の実物で、出来と請求額の両方を見て決めてください

私たちが変えなかったこと

承認ゲートは動かしません。 お客様に届くメール、公開する記事、広告の文面など、外に出るものはモデルが何であっても人が最後に見ます。承認ゲートが守っているのはAIの出来の良し悪しではなく、自社が何を言う会社かという一貫性だからです。私たちがどこに承認を置いているかはこちらの記事に公開しています。

正直に書いておくと、私たちはまだSonnet 5.5に切り替えた後の実測を持っていません。 発表の翌日にこの記事を書いているので、請求額がどう動くかも、自社の文章の出来がどう変わるかも、まだ判断できません。

まとめ

  • 2026年9月28日、AnthropicがClaude Sonnet 5.5を発表しました。Opus 5.5を補う「速くて安いほう」の段です
  • 料金の単価は前の世代のSonnet 5と同じまま、必要な文章の量が減るため、ほとんどの仕事で費用は最大30%少ないとされています
  • 書き出す速さは30%以上速く、作業を任せる力とパソコン操作の試験で大きく伸びました。いずれもAnthropic自身の発表値です
  • 下がったのは単価ではなく「1仕事あたり」の費用です。自社の請求額がどう動くかは、実績を見るまで分かりません
  • 画面を見て確かめる仕事は真ん中の段で試しやすくなりましたが、押したら取り消しにくい操作には人の確認を残します
  • 長く判断を続ける仕事は、公式もOpus 5.5のほうが強いとしています。仕事ごとに段を分ける基準は「取り返しがつくかどうか」です

あわせて読んでいただきたい記事です。

新しいモデルが出るたびに社内で同じ議論をするより、「どの仕事をどこまで任せるか」の線を一度引いてしまうほうが、結局は速く進みます。私たちが自社でその線をどう引き、どこでつまずいたかをまとめた無料レポート『AIエージェント導入の実際』をこちらでお配りしています。A4・全11ページ、自己診断シート付きです。自社の線を引くところから始めてみてください。


本記事の内容は2026年9月時点のものです。

この記録の仕組みを、御社のマーケティングに実装することもできます。 30分の個別相談で、自動化できる領域を診断します。初回セッションは有料です。

個別相談を申し込む