LPの画像を社内で作る — ブランドが崩れない設定と、AI生成を使わない場面
申し込みページの画像を社内で作ると、1枚ずつは悪くないのに全体がちぐはぐになります。原因は腕ではなく設定です。色・枠・文字を最初に固定する作り方と、画像生成AIを使ってよい場面・使わない場面の線を、自社の運用ルールのまま書きます。
申し込みページ用の画像を社内で作りはじめると、たいてい同じことが起きます。1枚ずつ見れば悪くないのに、並べるとちぐはぐになる。青が微妙に違う、角の丸みが違う、見出しの文字が毎回違う。
これは作る人の腕の問題ではありません。毎回ゼロから作らせている、という設定の問題です。
私たちは自社のページに載せる画像を、色・枠・文字を固定したテンプレート(ひな形)から作っています。そこで引いている線と、画像生成AIをどこで使い、どこで使わないかを、そのまま書きます。
決めるのは腕ではなく設定です。 色・枠・文字はひな形の側で固定し、作る人には中身だけを入れてもらう。 そして実在するように見える人物や実績の画像は、AIに作らせない。
先に、言葉を揃えます
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| LP | ランディングページ。広告やメールから来た人が最初に着く、申し込み用の1枚のページ |
| テンプレート | ひな形。文字や写真を差し替えれば同じ見た目で作れるようにした下地 |
| ブランドキット | 自社で使う色・書体・ロゴをツールに登録しておく機能。Canva など多くの制作ツールにあり、名前はツールごとに違います |
| 書き出し | 作った画像をファイルとして保存すること。保存時に形式と大きさを選びます |
| 代替テキスト | 画像が表示されないときや、読み上げで使われる説明文。検索する側にも読まれます |
| 画像生成AI | 文章で指示すると絵や写真らしきものを作る機能 |
ツールの画面や項目名はよく変わります。ここに書くのは操作手順ではなく、どこを固定してどこを開けておくかという線引きです。
なぜ「崩れる」ではなく「静かに崩れる」のか
ちぐはぐな画像は、見た瞬間に嫌われるわけではありません。読んでいる人は「なんとなく雑だ」と感じるだけで、その理由を言葉にしません。言葉にしないので、こちらにも指摘が返ってきません。
返ってこないまま、ページの信頼感だけが少しずつ落ちます。この落ち方は申し込み数の増減にも直接は現れません。ほかの要素と混ざるからです。つまり、数字を見ていても気づけない種類の劣化です。
気づけないものは、都度の判断に任せてはいけない。ここが、ひな形を先に作る理由です。同じ考え方で工程全体の線を引いた話はAIマーケティング代行は、何を代行して何を代行しないのかに書きました。
ひな形の側で固定する3つ
色。 使ってよい色だけを登録し、作る人が色を選ぶ画面を開かなくて済むようにします。「だいたい同じ青」は毎回ずれます。ずれた青は、並べたときにだけ分かります。
枠。 余白、角の丸み、線の太さ、画像の縦横比。ここが揃っていると、中身が違ってもページとしてまとまって見えます。逆にここが毎回違うと、色を揃えても散らかって見えます。
文字。 書体と大きさの段階を決めておきます。見出し・小見出し・本文・注記の4段階くらいで足ります。段階を決めずに毎回「少し大きく」を繰り返すと、ページの中で同じ役割の文字が全部違う大きさになります。
私たちは自社サイトの記事用の画像も、同じ考え方で作っています。白地・明朝の見出し・金の細い罫線と決めて、写真は使わない。タイトルからそのまま機械で作れる形にしてあるので、人の手が要りません。手が要らない仕組みは止まりません。サイトをその形に作り直した経緯はなぜ自社サイトをAIで作り直したのかにあります。
作る人に残す仕事
固定しないのは中身です。何を伝える画像なのか、どの言葉を大きく見せるのか、図にすべきか文章のままでよいか。ここは判断が要るので、人が持ちます。
ひな形を作る目的は、作る人の自由を奪うことではなく、判断しなくていいことを判断させないことです。色を選ぶ時間は、何を見せるかを考える時間に回したほうが、結果が良くなります。
画像生成AIを、どこで使い、どこで使わないか
使っている場面はあります。抽象的な背景、図解の下地、雰囲気を作るための模様。要するに、実在するものを示していない絵です。ここは速さの利点がそのまま出ます。
使わないと決めている場面があります。
架空の人物を作らない。 AIで作った「お客様らしき笑顔の人」「専門家らしき人」をページに置かない、というのが自社のルールです。理由は3つあります。
ひとつめ。人物の写真が申し込みページに載っていると、読む人はそれを実在する誰かだと受け取ります。説明を添えていなくてもそう読まれます。作った側にその気がなくても、実際には信じてもらう材料として機能してしまう。
ふたつめ。気づかれたときに失うものが大きい。 生成された人物は、見慣れた人にはかなりの確率で分かります。1枚の画像で疑われると、ページに書いてある本当のことまで疑われます。取り返す手段はありません。
みっつめ。そもそも要らないからです。人物写真が埋めていたのは「信頼感」という曖昧な穴で、その穴は具体的な事実で埋めるほうが確実です。誰が作業するのか、何をどこまでやるのか、やらないことは何か。これらは文字で書けます。
実績・画面・商品の画像もAIに作らせない。 実際の画面をそのまま撮ったものを使うか、載せないかのどちらかです。「それらしく作った画面」は、実物と違っていたときに説明がつきません。
AIが作った文章と品質の話はAIが書いた記事は検索で評価されるのかに書きましたが、画像のほうが線は単純です。実在を装うかどうか。 それだけで決まります。
表示される大きさで書き出す
もうひとつ、忘れられやすい設定があります。ページで実際に表示される大きさに合わせて書き出すことです。
制作ツールの中では大きく作っておいて構いません。問題は、その大きなままページに載せてしまうことです。読む人の側では、画像が重いほどページが出るのが遅くなります。広告から来た人は、遅いページを待ちません。開く前に戻ります。
戻った人は記録に残りにくく、こちらからは「反応が悪い広告」に見えます。原因が画像だとは分からないまま、広告の文面を直しはじめることになる。これも、気づけない種類の損です。
決めておくことは2つだけです。書き出す形式(写真は写真向けの形式、図や文字は輪郭がにじまない形式)と、表示される幅に合わせた書き出しの大きさ。ひな形の中に「書き出し用」の設定まで含めておくと、毎回迷わずに済みます。
画像に文字を入れすぎない
見出しを画像にすると、見た目は自由になります。ただし画像の中の文字は、ページの文字としては扱われにくい。検索やAIの引用の対象になりにくく、読み上げでも拾われません。
私たちの線引きはこうです。意味のある言葉はページの文字として書く。画像は、その言葉を補う。 そして画像には代替テキストを必ず入れます。装飾のための画像なら、その旨が分かるようにしておきます。
最初にやること
ひな形が無い状態からなら、順番はこうです。
- いま使っている色を数えて、使ってよい色だけに絞る
- 余白・角の丸み・画像の縦横比を決めて、ひな形を1つ作る
- 文字の大きさを段階で決める
- 書き出しの設定までひな形に含める
- AI生成は「実在を装わない絵」だけ、と決めて共有する
この5つは、腕とは関係ありません。決めれば終わる作業です。
まとめ
- 画像がちぐはぐになるのは腕ではなく、毎回ゼロから作らせている設定のせい
- 崩れ方は静かで、申し込み数にも直接は出ない。数字を見ていても気づけないので、都度の判断に任せない
- ひな形の側で色・枠・文字を固定し、作る人には何を見せるかだけを残す
- 画像生成AIは、実在を装わない絵(背景・図の下地・模様)に使う
- 架空の人物・架空の実績・それらしく作った画面は作らない。 信じる材料として機能してしまい、気づかれたときに本文まで疑われる
- ページで表示される大きさで書き出す。 重い画像は待たれずに戻られ、原因が画像だと分からないまま広告の文面を直すことになる
- 意味のある言葉は画像ではなくページの文字として書き、画像には代替テキストを入れる
任せる範囲をどこで区切るかという同じ問いを、広告の自動設定について書いたものがMeta広告の「おまかせ設定」に、何を任せて何を任せないかです。あわせてお読みください。
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本記事の内容は2026年9月時点のものです。
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