SEO 2026.11.04

AIに書かせた文章が自社らしくならないとき、足りていないのは「文体の指示」ではなく判断の基準

AIの文章が「うちらしくない」とき、足りないのは「誠実に」「親しみやすく」といった形容詞ではなく、何を書かないか・どこまで言い切るかの基準です。見本の渡し方と、このサイトが実際にAIへ渡している指示の構造を開示します。

AIに書かせた文章が自社らしくならないとき、足りていないのは「文体の指示」ではなく判断の基準 — AIマーケティング株式会社

AIに書かせた文章が「なんだか自社らしくない」とき、足りていないのはたいてい文体の指示ではありません。足りていないのは判断の基準です。何を書かないか、どこまで言い切るか、何を使ってよいか。 「誠実なトーンで」「親しみやすく」と形容詞を重ねても、AIはそれをどう判断に変えればよいか分かりません。いちばん速いのは見本を渡すことですが、そのときも「どこを真似て、どこを真似ないか」を指定しないと、中身まで似た文章が返ってきます。

この記事では、その考え方と、このサイトの記事を書かせるときに私たちが実際にAIへ渡している指示の構造をそのまま書きます。

先に、言葉を揃えます

言葉この記事での意味
トーン文章から受ける印象。丁寧、くだけた、硬い、など
ブランドボイス「その会社が書いた」と分かる、言葉づかいと判断のくせ。この記事では、言葉づかいより判断のほうが大事だと考えます
指示(プロンプト)AIに作業を頼むときに渡す文章。「何を、どう書いてほしいか」を書いたもの
見本「この感じで書いて」と渡す、すでにある文章

「トーンが違う」の正体

AIの文章を読んで「うちらしくない」と感じるとき、言い回しを直せば済むと思いがちです。けれど、実際に赤を入れてみると、直している箇所の多くは言い回しではありません。

  • 自社なら言わない約束をしている(「必ず成果が出ます」)
  • 自社なら言い切るところをぼかしている(「場合によっては有効かもしれません」)
  • 自社なら書かない話題に触れている(競合への言及、根拠の無い業界の通説)
  • 自社なら最初に置く結論が、最後に回っている

どれも「文体」ではなく**「何を書くか・どこまで言うか」の判断です。そしてこの判断は、形容詞では伝わりません。「誠実に」と言われたAIは、丁寧語を増やし、断定を減らし、「〜と考えられます」を足します。それが自社にとっての誠実さと一致するとは限りません。私たちにとっての誠実さは、むしろ分かっていることは言い切り、分からないことは「まだ分からない」と書く**ことです。言葉は同じでも、中身が逆になることがあります。

読まれない文章の構造そのもの(誰にでも当てはまる、結論が最後、など)はAIで書いた文章が読まれないのは、文章が下手だからではないに書きました。この記事は、その手前の「自社らしさをどう渡すか」の話です。

形容詞の代わりに渡すもの

形容詞を、AIが判断に使える形に置き換えます。私たちが使っている置き換え方は次のとおりです。

形容詞で言いがちなこと判断の基準に直すと
誠実に確かめていない数字は書かない。分からないことは「まだ分からない」と書く
信頼感のある新しい発表を扱うときは、発表元の公式ページのURLを本文に置く
煽らない使わない言葉を名指しする(「驚愕の」「劇的に」など)
分かりやすく専門用語は、出てきたその場でかみ砕く。結論を先に置く
押しつけがましくない自社のサービスを勧めない。読者が自分で判断できる基準を渡す
親しみやすく一人称と語尾を決める(このサイトなら「私たち」「です・ます」)

ポイントは、右の列は「守れたかどうか」を後から確かめられることです。「誠実に書けたか」はAIにも人にも判定できませんが、「確かめていない数字が入っていないか」は判定できます。判定できる基準にしておくと、AIの出力を見る人も、どこを見ればよいかがはっきりします。

書かない基準を、書く基準より先に決める

自社らしさは、書くことより書かないことに強く出ます。何でも書ける道具に対しては、とくにそうです。最初に決めておきたいのは次のようなことです。

  • 約束してはいけないこと(成果の保証、期限の断言など)
  • 触れない話題(他社の名指しの批判、確かめていない業界の噂など)
  • 作ってはいけないもの(架空の事例、架空の人物、架空のお客様の声)
  • 自社の宣伝をどこまで入れてよいか

言い切る基準も決める

反対に、AIは放っておくと言い切りを避けます。「〜の可能性があります」「一概には言えません」が続く文章は、間違ってはいないけれど、誰の判断も助けません。何がそろったら言い切ってよいかも決めておきます。私たちの場合は「自社で確かめたこと」「発表元の公式ページに書いてあること」は言い切り、それ以外は「まだ判断できない」と書く、という線です。

見本を渡すときは「何を真似ないか」も渡す

自社らしさを伝えるいちばん速い方法は、見本を渡すことです。説明を何行も書くより、自社の過去の文章を1本渡すほうが、語尾や段落の長さ、表の使い方はよく伝わります。

ただし、見本を渡すだけだと、AIは中身まで真似ます。同じ構成、同じ例え、ときには同じ結論。続けて何本も書かせると、どれも見本の焼き直しに見えてきます。

そこで、見本には必ず「どこを真似て、どこを真似ないか」を添えます。

真似てほしいところ真似てほしくないところ
語尾、一人称、段落の長さ話題、主張、結論
冒頭で結論を言う置き方見本に出てくる具体例や数字
用語の説明の仕方(表で揃える等)見出しの文言そのもの
根拠の示し方(出典の置き方)見本が扱った固有の事情

私たちは見本に「この書き方に合わせる。内容は真似しない」と一行添えて渡しています。たったこれだけでも、返ってくる文章はかなり変わります。また、見本は固定せず、直近に書いた記事に入れ替わるようにしています。同じ1本を渡し続けると、言い回しのくせが積み重なっていくからです。

このサイトがAIに渡している指示の構造

このサイトの記事も、AIが書いています。そのときに渡している指示は、おおむね次の部分でできています。

部分中身何のためか
今回のネタと切り口何を書くか、何を書かないか、どこを正直に書くか話題の判断を渡す
使ってよい数字事前に確かめて登録した数字と、その出典の一覧数字の作り話を防ぐ
既存の記事の一覧題名と要約。リンクしてよいのはこの中だけ内容の重複と、存在しないページへのリンクを防ぐ
文体の見本直近の記事を1本。「書き方に合わせる、内容は真似しない」を添える語尾や構成の感じを渡す
書き方の決まり一人称、です・ます、結論を先に、使わない言葉、架空の事例を作らない、など判断の基準を渡す

文体について書いてある部分は、実は小さいのです。大半は「何を書いてよいか、何を書いてはいけないか」のほうに割いています。そして、守れたかどうかを機械で確かめられる決まり(登録していない数字が入っていないか、存在しないページにリンクしていないか)は、書いたあとに機械が照合し、通らなければ公開されません。照合の中身はAIが書いた記事は検索で評価されるのかに書きました。

正直に言うと、この形でも「自社らしさ」が完全に出るわけではありません。いちばん自社らしさが出るのは、自社でしか知りえない話(自社で試して分かったこと、うまくいかなかったこと)が入っているときで、そこはAIに渡す材料として人が持ち込むしかありません。指示の工夫で防げるのは「自社らしくないこと」を言うほうであって、「自社にしか言えないこと」を生み出すほうではない、というのが私たちの今の理解です。

社内で始めるときの順番

これから自社の文章をAIに書かせる場合、次の順で決めていくと迷いにくくなります。

  1. 書かないことを書き出す。 約束しないこと、触れない話題、作らないもの
  2. 言い切る条件を決める。 何がそろっていれば断定してよいか
  3. 形容詞を基準に直す。 社内の「らしさ」を表す言葉を、確かめられる形に置き換える
  4. 見本を1本選び、真似る所・真似ない所を添える
  5. 出てきた文章を人が読み、直した箇所を基準に足す。 同じ直しを2回したら、それは指示に書くべきことです

5つ目がいちばん大事です。最初から完璧な指示は書けません。人が直した箇所こそが、まだ言葉になっていなかった自社の判断です。直すたびに、それを指示の側へ移していくと、指示が少しずつ自社の判断の記録になっていきます。人が出力を見る場所とタイミングの決め方はAIの出力を人がどう確認するかにまとめています。

まだ判断できないこと

  • 読み手が「この会社らしい」と感じるかどうかを、どう測ればよいかは、私たちもまだ答えを持っていません。いまは、人が直す箇所が減っていくかどうかを手がかりにしています
  • 画像や図の「自社らしさ」は、文章とは別の問題です。画像についてはLPの画像を社内で作るに分けて書きました

まとめ

  • AIの文章が自社らしくない原因の多くは、言い回しではなく「何を書くか・どこまで言うか」の判断が渡っていないこと
  • 「誠実に」「親しみやすく」といった形容詞は、確かめられる基準(書かない数字、使わない言葉、一人称など)に置き換えて渡す
  • 書かない基準を先に決め、言い切る条件も決める
  • 見本は速いが、「真似るところ・真似ないところ」を添えないと中身まで似る
  • 人が直した箇所を指示に戻していくと、指示が自社の判断の記録になる

関連する記事: AIで書いた文章が読まれないのは、文章が下手だからではない / AIが書いた記事は検索で評価されるのか / AIの出力を人がどう確認するか

私たちが自社のマーケティングをAIで運用する中で、何をAIに任せ、どこで人が判断しているかは、無料のレポートにまとめています。自社の指示を作るときの下敷きにしてください。無料レポートを受け取る


本記事の内容は2026年11月時点のものです。

無料レポート

AIエージェント導入の実際

自社のマーケティングをAIエージェントで運用している会社が、全内訳・設計の原則・実際に踏んだ失敗を公開しています。自己診断シート付き。

無料で受け取る

この記録の仕組みを、御社のマーケティングに実装することもできます。 30分の個別相談で、自動化できる領域を診断します。初回セッションは有料です。

個別相談を申し込む